もっぱら大企業を相手にビジネスを展開し、クラウド事業で他社に後れを取っていた日本オラクル。日本全国の中堅・中小企業のクラウド移行をサポートしようと、2017年に営業部門「Oracle Digital」を新設し、19年には営業拠点「Oracle Digital Hub Tokyo」を開設した。
Oracle Digitalが拠点としているオフィス「Oracle Digital Hub Tokyo」。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、現在はオフィス自体はクローズしているが、オフィスワークとリモートワークの“いいとこ取り”ができそうな工夫が仕掛けられている新規事業に取り組むために、人材は社外から中途採用した。ほとんどが20代の若者だという。最初は社内で組織しようとしたが、既存の人間がやれば既存のビジネスと同じ。古いオラクルの考え方のままではクラウドは売れないと上司から指摘された結果、「簡単に言えば若い人。頭が柔らかく、新しいことが好きで、できる人」を社外から採用した。
「クラウドの世界はマーケットの動きが非常に速い。ましてオラクルにノウハウはなく、自分たちで1つ1つ作らなくてはならない。行動力や柔軟性が高く、“オラクルっぽく”なく、前向きな若い人、国籍も性別も関係なく採用した」(Oracle Digitalの責任者を務める本多充執行役員)
その結果、Oracle Digitalは他の組織に比べて多様性が高くなり、子どもを持つ女性が多いという。
こうした人材を集めるためには「きれいなオフィス」が必要と考え、Oracle Digital Hub Tokyoではデザインを重視。数寄屋造りをイメージした日本風の雰囲気にした。Oracle Digitalのためのオフィスは世界中にあり、デザインは各国独自のものを採用しているが、部屋のレイアウトや大きさ、収容人数、会議室の配置は決められているという。
本多氏は当初、日本全国の顧客に対応するOracle Digitalのオフィスが東京だけということに反発した。「営業は『会ってなんぼ』という考え方がある。『リモートで話なんか聞けない』という人も多い」と考えていたからだ。しかし、今では「結果的には(東京だけで)正しかった」という。
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