資生堂は復調傾向? 化粧品各社の「中国頼み」色濃くメークからスキンケア需要へ(1/4 ページ)

» 2021年05月18日 11時15分 公開
[臼井杏奈ITmedia]

 新型コロナ禍で打撃を受けた化粧品業界が復調傾向にある。ただし全ての地域や事業が復調傾向にあるわけではなく、中には減収が続くケースもある。各社が直近で発表した四半期決算からは、各社の明暗を分けた3つのポイントが浮かび上がる。

化粧品業界の明暗には3つのポイントが(画像はイメージ)

Eコマースの拡大が成長ドライバーに

 緊急事態宣言下にあった日本市場や、新型コロナが猛威を振るう欧州では各社とも苦戦を強いられた。小売店の時短営業や外出自粛など来客減が続く中、オンラインチャネルの売れ行きが明暗を分ける形となった。

 資生堂が5月12日に発表した2021年12月期第1四半期(21年1月〜3月)の連結決算は、売上高が前年同期比7.5%増の2440億1100万円、営業利益が同67.6%増の108億8400万円と増収増益だった。一方、親会社株主に帰属する四半期純利益は、ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)とのライセンス契約解消に伴う商標権の減損損失を計上したことなどから、15億2700万円の損失(前年同期は14億200万円の黒字)となった。

 日本事業は12.1%減の752億8600万円と減収となったが、国内Eコマース(EC)は、自社EC「watashi+」、他社ECの好調を受けて10%台半ばで成長。3月には専門店Eコマースプラットフォーム「Omise+」をオープン。専門店取り扱い商品をオンライン購入できるほか、今後は全国の資生堂取扱店のカウンセリングやチャットサービスを設置する予定だ。

 ポーラ・オルビスホールディングス(HD)の21年12月期第1四半期連結決算(4月28日発表)でも同様の傾向が見られる。売上高は前年同期比0.6%増の435億6100万円、営業利益は同114.7%増の43億700万円、純利益は39億3900万円の黒字(前年同期は12億4600万円の赤字)だった。日本市場においてはECの需要が拡大し、ライブコマースやオンライン接客・サービスを導入した。

 特にブランド「POLA」は、1月にスター製品「リンクルショットメディカルセラム」のリニューアル発売があったものの、売り上げ構成比の68%を占める委託販売チャネルが顧客数減で減収。一方で、国内ECが前年同期比115%の増収となった。

国内ECは前年同期比115%の増収(ポーラ・オルビスHD21年12月期第1四半期決算説明会資料より)

 ポーラ・オルビスHDは全ブランドのEC化を加速し、中期経営計画(21〜23年)で掲げた、国内EC売上高比率30%到達(20年12月期24%)の達成を急ぐ。

 仏の化粧品大手ロレアル(L'OREAL)の21年第1四半期決算でも、売上高76億1000万ユーロ(同10.2%増)のうち、26.8%を占めるのがECだ。ECチャネルは同47.2%増で成長しており、「ラ ロッシュ ポゼ」「スキンシューティカルズ」などを置くアクティブコスメティクス事業はEC売り上げが2桁成長、プロフェッショナル製品(専門店向け商材)もECの成長が好調要因となった。

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