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男性育休「取得せず」4割超 職場内での「後ろめたさ」が要因に内閣府調査で明らかに

» 2021年06月07日 13時20分 公開
[ITmedia]

 内閣府は6月4日、「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」を発表した。調査によると、子育て世代の男性で「育児休暇を取得しない」と回答した割合が4割超だった。男性の育休取得を促す改正育児・介護業法が3日の衆院本会議で可決、成立した。しかし、実際に男性が育休を取得するまでの道のりは長そうだ。

男性の育休取得への道のりは長い(画像提供:ゲッティイメージズ)

 内閣府が20〜30代の既婚男性に育休の取得予定を聞いたところ、「取得しない」が42.2%で最多となった。次いで「1週間未満」が17.1%、「1週間〜2週間未満」が8.9%だった。「1カ月以上」と回答したのは8.4%にとどまった。

育休を取得しない男性が4割を超える(出典:以下、内閣府調査)

 1カ月以上の育休休暇を取得しない理由(複数回答)としては、「職場に迷惑をかけたくないため」(37.2%)、「職場が、男性の育休取得を認めない雰囲気であるため」(32.9%)、「収入が減少してしまうため」(29.2%)が多かった。育休取得に後ろめたさを感じる人が多いことからも、職場内で男性の育休取得に対する大幅な意識改革を行う必要がある。

育児休暇取得に対して後ろめたさを感じる割合が高い

 同僚の男性が育休取得することへの抵抗感を聞いたところ、全体では半数以上(53.9%)が「抵抗感はない」と回答。一方で抵抗感を抱える男性(36.7%)は女性(21.9%)の約1.7倍にあたる。年代別では40代が35.0%、30代の32.8%、50代の32.6%という順になった。育休取得による業務量の増加や管理コストが発生することへの懸念と推測される。

男性の育休取得に対する抵抗感は女性よりも男性が強い傾向に

 3日に成立した改正育児・介護休業法には、子どもが生まれてから8週間以内に最大4週間の休みの取得が可能と記されており、夫婦が協力して子育てに取り組めるようにする狙いがある。企業に対して男性社員に育休取得を個別に促したり、制度の説明をしたりすることを義務化するなどの働きかけを行っていく。

 しかし、厚生労働省が発表した2019年の「雇用均等基本調査」によると、男性の育休取得率は7.48%と依然低い。政府は25年までに30%への引き上げ目標を掲げているが、現時点では道半ばだ。

 内閣府の担当者に行政としての支援策を聞いたところ「男性社員が育休を取得した企業に支援金を支給する”子育てパパ支援助成金”という制度を設けています。男性が休みやすい職場環境の整備を進め、育休取得率の改善を目指していきたい」と述べた。

 調査は4月30日から5月11日に、インターネットで実施した。回収数は1万128人。

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