経済産業省は6月17日に社員の健康に配慮した経営を行う「健康経営優良法人2021」の評価サマリーを公表した。そのなかでも、先進的な取り組みを行う企業を業種別に分類し、合計48社を「健康経営銘柄」に認定した。
経産省は健康経営への取り組みに関する調査を14年から開始。初回認定の15年から7年連続で「健康経営銘柄」に選出された企業は花王、TOTO、東急などを含む6社となった。
7年連続取得は6社、6年連続は3社のみ(出所:経済産業省)
7年連続で経産省からお墨付きをもらった企業はどんな取り組みをしているのだろうか。
花王は、08年に「花王グループ健康宣言」を発表しており、早期から健康経営に取り組んできた。09年から運用する「健康づくりマネジメントシステム」では、個人が特定できない健康データ(問診・健診・就業・失業など)を全国19カ所の健康相談室に提供しており、地域ごとの実態に応じた企画立案に取り組んでいる。
東急は、健康診断のデータなどから点数化したオリジナルの「TOQ健康スコア」を導入し、保健指導を行っている。また、運動不足になりやすいコロナ禍においては、従業員の運動機会増加施策として「職場対抗ウォーキング選手権」を開催。現在も継続的に実施しているようだ。
人材の充実に力を入れるのはSCSKだ。産業医や保健師・看護師だけでなく、公認心理師・臨床心理士など健康関連の資格を持つ専門職を多数配置している。社内にリラクゼーションルームを開設し、国家資格を持つスタッフが施術に当たる。福利厚生の一環として社員に積極利用を促している。
SCSKでは福利厚生としてマッサージを提供(画像提供:ゲッティイメージズ)
コロナ禍をきっかけに社会全体で健康の価値を見直す動きが広がっている。社内での「最高健康責任者(CHO)」の設置や、ESG投資(環境・社会・企業統治)に対する海外投資家からの関心の高まりなどから、今後も健康経営への取り組みが進むと考えられる。
調査は、応募企業2523社の組織体制や精神不調時の対応など約200の項目に対する回答から偏差値を算出し、評価している。
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