市場は7割減! “スーツ離れ”を断ち切ることはできるのかスピン経済の歩き方(1/7 ページ)

» 2021年07月06日 09時05分 公開
[窪田順生ITmedia]

 スーツに大逆風が吹いている。

 働き方の多様化で「スーツ離れ」が進んでいたところに、コロナ禍の在宅勤務増というダブルパンチによって、市場が急速にシュリンクしているのだ。

 小島ファッションマーケティングの推計では、2020年の国内スーツ販売は約400万着で、ピーク時の1992年(1350万着)に比べて7割減まで落ち込んでいるが、注目すべきは18年から20年で4割も減っていることだ。加速度的に市場が縮小しているのだ。

スーツ離れが止まらない

 それを示唆するのが、紳士服専門店最大手の青山商事の苦境だ。21年3月期連結決算は純損益が388億円の赤字となった。これは1964年の設立以来最大の赤字額ということで、同社は大規模なリストラに踏み切っている。昨年、全店舗の2割にあたる160店舗を閉店させて、正社員400人の希望退職者を募っていたが、さらに400店の売り場も縮小していくという。

崩壊する既製スーツ市場(出典:小島ファッションマーケティング)

 このような話を聞いても、「リストラされた人たちは気の毒だけど、高温多湿の日本でそもそも無理してスーツを着る必要なんてないでしょ」くらいの冷ややかな反応の方も多いかもしれない。実は近年、ネットやSNSでは「スーツ不要論」を叫ぶ人たちが増えているのだ。最近では、暑くてジメジメした今のような季節に、就活中の学生たちにスーツ着用を義務付ける企業なども「時代遅れだ」と叩かれている。

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