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» 2021年07月26日 05時00分 公開

マツキヨ・ココカラ不振の裏で、「肉・魚・野菜」の販売にドラッグストア各社が乗り出す納得の理由小売・流通アナリストの視点(6/6 ページ)

[中井彰人,ITmedia]
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 その理由としては、コンセッショナリー方式で高速出店を行うと、優秀な生鮮テナントの確保が難しく、その技量にばらつきが出ている点にあるようだ。

 バックヤードで流通加工を行う方式を維持しようとすると、出店に際して人材確保の難しさがハードルになることは理解できる。ここからは大いに私見が入るが、北関東という地域は食品スーパーの国内最激戦地であり、ヨークベニマル、ヤオコー、ベルク、ベイシア、アクシアルグループなど、日本最強クラスとされるスーパーが干戈を交え、地場企業もその中を生き抜いている強者ぞろいの「ヤバい」エリアなのである。

 ここで彼らと同じ土俵で戦うことはそう簡単にはいかない。例え、買収したスーパーのノウハウを活用したとしても、サッカーJ1のリーグ戦にJ3チームを買収して参戦するようなものではないか、と懸念するのである。ただ、この取り組みも始まったばかりであり、今すぐに成果をうんぬんすべきではなく、長い目で見ていく必要がありそうだ。

「ラストワンマイル」の生鮮食品がカギを握る

 消費者の生活必需品ワンストップショッピングのニーズに関しては、既に顕在化しており、食品スーパー、ドラッグストア、ホームセンターなど、関連する業態の企業は、認識しつつもその完全実現には成功してはいなかった。EC化の進む時代となっても、食品、特に生鮮食品に関しては、ECシフトからは一番遠い商材だといわれており、実際、コロナ禍の非接触ニーズの中でも、リアル食品小売はその健在ぶりを示している。

 ただ、コロナ禍による追い風が消失すれば、地方を中心に人口減少高齢化などによる市場縮小で、リアル小売業の競争激化はこれまで以上に厳しくなることは避けられない。そうなったとき、生活必需品ワンストップという、顕在化してはいるが対応しきれていないニーズに適合する企業が生き残る可能性は高い。今できないからといって座していたなら、100年たっても1000年たっても対応不可能なままだが、難しくてもチャレンジする企業には10年後の実現可能性が生まれる。たとえ今、実現できていないとしても、果敢に新たな取り組みを行っている食品強化型ドラッグストアの中から、きっと10年後の生き残り企業が生まれるに違いない。

著者プロフィール

中井彰人(なかい あきひと)

メガバンク調査部門の流通アナリストとして12年、現在は中小企業診断士として独立。地域流通「愛」を貫き、全国各地への出張の日々を経て、モータリゼーションと業態盛衰の関連性に注目した独自の流通理論に到達。


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