沖縄の最低賃金に異変 使用者側が発効延期を要求、理由は?聞いたことがない(2/2 ページ)

» 2021年08月06日 12時15分 公開
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「手続き想定外」

 県内の地域別最低賃金を決める専門部会は新型コロナウイルスという特殊事象を背景に、異例の展開となっている。立場の弱い時給労働者を念頭に賃金引き上げを訴える労働者側と、雇用の維持を最優先に現状維持を訴える使用者側間の議論は平行線をたどる。

 使用者側は新型コロナの打撃が甚大とし賃上げには否定的だ。ただ、中央審議会が地域の経済情勢などに応じて分類したA-Dの4ランクで、沖縄が入るDランクでも28円の引き上げを決める県も。使用者側関係者は引き上げはやむを得ないとした上で「仮に賃上げするとしても4月までは据え置いてほしい」と訴える。

 一方、労働者側は、コロナ禍で事業所は雇用調整助成金など国からの財政支援を受けられるが「時給労働者にはセーフティーネットがない」と指摘。現在、専門部会で示している38円の上げ幅と10月1日の発効は譲れないと強調する。

 発効日の変更は可能なのか。厚生労働省は、審議会が決定すれば最低賃金の公示と発効を定めた最低賃金法にのっとり「指定発効」のルール適用で、手続き上は可能との認識を示す。

 ただ、同ルールは想定よりも早く賃上げ手続きが完了した場合に、従来の発効日まで引き延ばすための制度。10月以降となれば「想定外の使い方となる」(沖縄労働局)という。

 コロナによる県経済への打撃は、最低賃金の審議にも大きく影響している。

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