白、赤、青――自動販売機のメジャー色といえばこの3色ではないだろうか。その視認性の高さから、コンビニがない山奥や街中でも重宝される存在といえるだろう。一方、その視認性の高さが「街並みに全く馴染んでいない」とあだになることもある。
島根県の世界遺産、石見銀山にある自販機が「景観に合いすぎている」と話題になっている。石州瓦の屋根や平屋の家など当時の街並みの中に存在する自販機は、飾り彫りが施された木造のカバーにすっぽりと覆われているのだ。
なぜ石見銀山の自販機は木製カバーで覆われているのだろうか? 設計を担当した「ゆまにてく」(島根県大田市)の渡部孝幸氏に経緯を聞いた。
――なぜ石見銀山の自販機は木造のカバーで覆われているのでしょうか?
渡部: 石見銀山は、1987年に国が選定する伝統的建造物群保存地区に選ばれました。城下町、宿場町、門前町など全国各地に残る歴史的な集落・街並みの保存が図られるようになり、ここ大田市でも街の外観を直していくプロジェクトが始動しました。
その中で、自販機の派手な色が古い街並みに合わないということから木造のカバーで覆うことになりました。
――木造のカバーにたどり着くにはどのような試行錯誤があったのでしょうか?
渡部: 自販機はもともと通りに面したところに置いてありました。景観を守るために撤去して街の端のほうに置く話が出たものの、置ける場所もなく結局元の場所に残すことになりました。
最初は自販機事業を展開している会社に相談して、自販機を塗装するアイデアも出ていたのですが、前例がなかったので応じてもらえませんでした。そこで知恵を絞り、街並みのデザインを取り入れた格子をかぶせるアイデアが浮かびました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング