さて、そこで想像していただきたい。ただでさえ、「パンデミックに弱い」というビジネスモデルからの転換を模索しているIR事業者が、このような日本のGDP成長率を見て、1兆円を投資しようと思うだろうか。もし筆者がMGMの経営者だったら、間違いなく日本進出を「再考」するだろう。
世界中の専門家が、コロナが終息しても必ず同様のウイルスパンデミックが繰り返されると指摘している。つまり、日本に大金を注ぎ込んで巨大なIRをつくっても、近い将来、再び営業停止や利用者激減といった憂き目にあうということだ。
外国人観光客はもちろん、国内観光客も来なくなってしまったら、夢洲カジノはただただ巨額な赤字を垂れ流す巨大なハコモノに成り下がってしまう。そんな危険な賭けをするよりも、今からデジタルへ集中投資をして、「場所にこだわらず世界のどこでもカジノが楽しめる」システムを構築したほうがよほど安全ではないか。
日本において、IRが「オワコン」になりつつある意味が分かっていただけたと思うが、それよりも「終わった」と強く感じるのは、「政治的後ろ盾」を失ったことも大きい。
冒頭でも少し触れたが、「日本のカジノ」を推し進めてきた菅・二階コンビのことだ。ご存じのように、今この2人は国民から大バッシングで、その政治的影響力を失いつつある。
これは日本のIRにとって致命的だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング