沖縄県内ホテル大手のかりゆし(玉城智司社長)は1日、那覇市前島の複合ビル「とまりん」内で運営する「沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハ」を10月末で閉館すると発表した。かりゆしは、今年1月に賃料の増額による経営圧迫などを理由に、2022年1月末で撤退するととまりんを管理運営する泊ふ頭開発に通知しており、10月の閉館は撤退に向けた準備を進めるためという。
新型コロナウイルスの影響による利用客減少も重なり、賃料の負担を続けながらホテル経営を維持するのは困難と判断した。パートを含む従業員約170人は解雇せず、県内のグループホテルで受け入れる方針。11月以降の予約客には今後順次説明する。
賃料を巡っては、泊ふ頭開発が2019年1月にかりゆしに対して賃料の増額を求める訴訟を起こし、翌年11月に月額約500万円の増額で両社は和解。今年9月から賃料が月3千万円となっている。
このためかりゆしは、以前からホテル棟の買い取りを泊ふ頭側に求めており、7月末には独自に依頼した不動産鑑定評価額を基に買収額を提示した。泊ふ頭開発はとまりんの6割を占めるかりゆしに施設を売却すれば収入が大幅に減ることから、これまで売却には応じてこなかった。泊ふ頭側は9月末に開く取締役会で売却か賃貸かを改めて判断をする方針だ。
アーバンは1995年のとまりんオープンと同時に開業した。客室数269室と宴会場、レストランなどを備え、沖縄本島周辺の離島航路が発着する泊港そばという立地の良さも人気だった。
玉城社長は「賃貸での運営は継続できないと以前から訴えてきた。雇用を守るためにも今の状況を長引かせることはできない」と閉館の理由を説明。「26年間の感謝を伝えつつ、最後までお客さまを温かく迎え入れたい」と話した。
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