「女性だからではなく実力で選べ!」が、日本企業の競争力を低下させているワケスピン経済の歩き方(6/6 ページ)

» 2021年09月21日 09時23分 公開
[窪田順生ITmedia]
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「実力のある人」に活躍の場を与えない

 できるわけがないのだ。

 そういう厳しい現実があるので、海外では冒頭で述べたようにクオータ制を導入したり、金融当局が女性役員を入れるように義務付ける。歴史を見ても、男というものは放っておくとタリバンのように、男同士で群れ、権力闘争を始める。パワーゲームは男にとって血湧き肉躍る娯楽でもあるのだ。だから、「性別より実力だ」「男女平等だ」と叫びながら女性を抑圧する傾向が強い。

 そういう男の「性」(さが)をシステムで抑えているのが、今世界で進められている「男女同数」の動きなのだ。

 といろいろ言ったが、日本ではもう少し世代交代が進まないと、こういう話はまだまだ到底受け入れられない。女性の中でも、「性別よりも実力で選べ!」「女性優遇にはもううんさり」などと叫ぶほうが多いからだ。

 女性に実力を発揮させる場すら与えない。日本人の多くは、この国をそれなりに男女平等な社会だと自負しているが、実はジェンダーギャップ指数的にはほぼイスラム世界だ。タリバンのことを批判できない、根深い女性蔑視が社会システムの中に組み込まれている。

 日本の競争力、所得の低下はまだしばらく続いていきそうだ。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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