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» 2021年09月28日 09時07分 公開

日本端子に学ぶ、中国進出企業はネットで叩かれないため何をすべきかスピン経済の歩き方(2/6 ページ)

[窪田順生,ITmedia]

「中国進出=中国企業相手にビジネス」ではない

 では、なぜこんなことを言い出したのかというと、日本端子にお勤めになっている440人(2020年1月1日現在)の従業員やその家族がお気の毒でしょうがないからだ。

 言い逃れできないようなエビデンスで叩かれるのならいざ知らず、「疑惑」と言えないほど根拠が薄い話で、「あの会社は中国共産党とズブズブだ」と石を投げられるのは理不尽すぎる。取引先は「災難だね」と同情してくれるだろうが、社員やその家族の日常はメチャクチャだ。ネットの誹謗中傷はもちろん、「あいつのオヤジ、中国の手先なんだって。ウチの母ちゃんが言ってたもん」なんて子どものイジメを誘発する恐れもある。

 この悲劇は、中国進出企業、特にB2B企業ならばどこで起きてもおかしくない。

 今回の炎上は、河野一族が経営していることに加えて、B2B企業特有の「何をしている会社かよく分からない」ことが事態を悪化させてしまったからだ。日本端子は非上場でWebサイト上の情報量もかなり少ない。その不透明さがネット上の人々の想像力を刺激した。情報不足を埋めるため、断片的な話をくっつけて自由に考察ができるようにしてしまったのである。

「中国進出=中国企業相手にビジネス」ではない

  まず順を追って(1)の「太陽光利権」から説明しよう。中国との癒着という点では分かりやすいストーリーだが、残念ながらこれは日本端子の実情からは考えにくい。

 同社のコネクタや端子製品の多くは「自動車向け」だからだ。2019年4月13日に「燃える男 中畑清の1・2・3絶好調」(千葉テレビ)に河野二郎社長が出演した際にも、自社製品の8割が自動車に使われており、日系自動車メーカーの6割に納入している、と説明している。

 つまり、「中国の太陽光発電企業に製品供給」どころか、ゴリゴリの「日本メーカーの下請け」なのだ。

 帝国データバンクによれば、日本企業の中国進出は20年1月時点で、約1万3600社で最も多いのはやはり製造業で5559社だ。では、これらの製造業はみんな中国メーカー相手に商売をしているかというとそんなことはない。今や中国には、世界中の自動車メーカーが生産拠点をつくっている。そうなれば当然、現地で部品も調達しようとなるので、日本の部品メーカーも多く進出している。「中国進出=中国企業相手にビジネス」ではないのだ。

 もちろん、同社の製品は自動車以外の家電製品にも使われているし、太陽光発電にも使われている。が、あくまでメインは自動車なので、全体からすれば微々たるものだ。そのような生産能力で、世界の太陽光発電市場の上位を占める中国企業のニーズに応えることなど物理的に不可能だ。

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