ワークマンの再来か? キャンプ用品の雄「スノーピーク」が来店減でも大幅増収・増益を達成できた理由古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/3 ページ)

» 2021年11月19日 07時00分 公開
[古田拓也ITmedia]

 業界で密かに「ネクスト・ワークマン」とささやかれているのが、スノーピークである。同社はビギナー層からベテラン層まで幅広いキャンプファンから支持を集め、アジア圏やキャンプの本場でもある米国でも勢力を拡大している企業である。

スノーピークWebページ

 スノーピークという名前からは、米ザ・ノース・フェイスのような外資系の雰囲気こそ感じられるが、同社は新潟県三条市に本社を置くれっきとした国産メーカーだ。そのルーツは1958年に山井幸雄氏が金物の問屋として創業した山井幸雄商店にある。山井氏は趣味が登山であり、当時の日本で売られていた登山用品の品質に不満を抱き、自社でオリジナルの登山用品を製作、販売し始めたことがきっかけだ。

 そこから、同社はオートキャンプといったアウトドアレジャーの普及の先駆けとなり、現在ではスノーピークがビギナー需要の受け皿となっている。一般的な旅行や娯楽が“密”であるとして公共交通機関の利用が忌避される半面、キャンプ場への移動は自家用車やレンタカーといった少人数での移動手段が用いられることが多い。また、キャンプ場では基本的に他の利用客とはテントを隔てていることから、感染リスクも非常に低い娯楽だ。

 グーグルの検索ボリュームの推移を時系列で確認できる「Google Trends」によれば、検索キーワード「スノーピーク」が2014年の夏ごろからじわじわと拡大を見せ、コロナ禍で一段と注目を集めている様子がつかめるだろう。

コロナ禍でスノーピークの注目が高まる オコスモ作成 コロナ禍でスノーピークの注目が高まる

 そんなスノーピークはコロナ禍を追い風として業績を急成長させている。市場では18〜20年にかけて株価を大きく上昇させたワークマンの再来かとも囁(ささや)かれ始めているようだ。

 現に21年12月期における第3四半期までの売上高は、183億円と前年同期比で+61%、営業利益は25.5億円と前年同期比で+221%にも達している。単純な伸び率だけで比較すれば往年のワークマンの成長率を上回る成長ぶりを見せている。それでは、両社の間にどのような違いがあるのだろうか。

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