もう一点、スノーピークとワークマンの大きな違いは、海外売り上げの有無である。
ワークマンは仕入・生産というコスト面で海外を活用しているのに対し、スノーピークはブランドの海外展開にも積極的で、海外売上高比率は足元で2割程度まで伸びている状況だ。国別で見ると韓国・米国・英国での伸びが著しい。
韓国における売上高は、第三四半期までの累計で17.2億円と前年同期比で+72%も伸張している。米国は13億円と、前年同期比で+80.5%だ。英国は3.3億円と小粒であるものの、前年同期比では4.12倍と成長率の点ではトップクラスを誇っており、世界的なキャンプ需要の受け皿としてスノーピークが選択され始めている様子がうかがえる。
日本単体では前年同期までの売上高90.9億円が今年は141.2億円と、55%ほどの成長となっていることから、海外での売上拡大が日本を上回る勢いとなっていることが分かるだろう。
スノーピークの強みとしては会員システムに根付いたファン層の囲い込みにあるが、米国・英国においては同社の会員システムが準備中であるにもかかわらず高い成長率を誇っている。そのため、アジア圏と同様に会員システムが整備されれば、マーケティングや顧客分析の点でさらなる伸び代があるとも考えられる。
日本では過去の話題のようになりつつもあるコロナ禍であるが、グローバルな視点ではいまだに終息の兆しも見えない国々で溢(あふ)れている。世界的に見た場合、新たな生活・娯楽様式としてのキャンプは今後も拡大を続けていくのかもしれない。
ちなみに、スノーピークの大株主に、創業一族の資産管理会社とみられる「雪峰社」という会社がある。雪(スノー)と峰(ピーク)で雪峰社ということであろうか、その名付けからは、趣味が高じて金型メーカーからアウトドアメーカーに転身した山井一族のお茶目な側面も垣間みえてくる。
中央大学法学部卒業後、Finatextに入社し、グループ証券会社スマートプラスの設立やアプリケーションの企画開発を行った。現在はFinatextのサービスディレクターとして勤務し、法人向けのサービス企画を行う傍ら、オコスモの代表としてメディア記事の執筆・監修を手掛けている。
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