レンタカーやホテル人材が足りない 高まる年末年始の観光需要に業界の不安危機感

» 2021年12月13日 10時01分 公開
[沖縄タイムス+プラス]
沖縄タイムス

 新型コロナウイルスの感染者数の減少に伴い、年末年始の観光需要が高まりつつある。リゾートを中心に年末年始の稼働率が80%から満室になるまで回復を見込むホテルもあるほか、ある航空会社の年末年始の沖縄発着路線の予約はコロナ禍前の7割で、前年実績の5割を上回る予測。一方で、観光客の移動手段となるレンタカーやホテルの人手不足が顕在化している。関係者は、沖縄観光の回復にブレーキがかかると危機感を募らせている。

 航空関係者によると、年末年始の沖縄発着路線は堅調な予約を見込み、コロナ禍前と同規模の便数を確保する会社もある。主力の東京路線では増便する社もあり、関係者は「『Go To トラベル』が始まればさらに需要は伸びてくるだろう」と推測する。

 KPGホテル&リゾート(田中正男社長)が運営する恩納村のカフーリゾートフチャクコンド・ホテルでは、すでに予約で満室状態となっている。田中社長は「感染状況が落ち着いている今こそ流れを止めずに経済を回さないといけない」と強調。別のリゾートホテルでも、感染拡大の影響で昨年は稼働率が50%ほどに落ち込んだが、今年は約80%にまで回復する見通しだ。

 一方、県レンタカー協会が実施した会員39社への調査によると、12月のレンタカーの車両台数は計1万1500台で、19年同月に比べて半減した。観光客の減少から減車していたが、経営体力も弱り、需要拡大の時期に増車に踏み切れない事業者がいるほか、世界的な半導体不足で新車が調達しにくいことも影響している。

 白石武博会長は「先行きが見通せない中で、事業者も経営リスクを考えて、すぐに増車の判断ができない状況がある」と話す。

 レンタカー不足を受けて沖縄ツーリスト(OTS)は、県外客向けに空港とホテル間の往復送迎付きの観光バスツアーを企画し、30、31日の両日限定で販売を始めた。

 さらに、一部ホテルでは人手不足も影を落とす。那覇市内のホテルでは、コロナ禍の約2年で、パートを含めた従業員の3割弱が退職した。需要が徐々に回復してレストランや宿泊予約も伸びてきているが、担当者は「スタッフを確保するのに苦慮している」と頭を悩ませる。

 業界関係者は「コロナ禍で観光インフラが傷ついている。需要が戻っても、レンタカーやスタッフの不足など、既に受け入れが困難な事態が起きている」と危機感を示した。

Copyright © The Okinawa Times All rights reserved.