全国に39拠点もあるのに、なぜ“三島のホテル”利用が多かったのか 東急「ツギツギ」の結果週末に「へえ」な話(1/4 ページ)

» 2021年12月11日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

 3年ほど前の話である。新婚夫婦がこのようなことを言っていた。「家に住まずに、旅をしているような暮らしをしたいんですよね。今日はここから出社して、明日は違うところから出社して、といった感じで」。この話を聞いたとき、筆者は「うーん」とうなってしまった。気のきいたアドバイスができず、「キャンピングカーで暮らすような感じになるよね」と答えるしかできなかった。その後、新婚夫婦は都内にマンションを購入し、いまはそこから出社している。

 もちろん、大富豪であれば、いくつもの豪邸を構えて、そこで生活を送ることができる。また、高級ホテルを転々としながら、仕事をすることもできるだろう。さすがにこれは非現実的なので、庶民向けの話をすると、全国のホステルを利用できるサブスクがあって、価格もリーズナブル。しかし、相部屋が基本なので、プライベートを重視したい人には向いていない。

 運営会社が提供する家であれば、移動しながら暮らすことができるサービスもあるが、先の新婚夫婦が語った「家に住まずに、旅をしているような暮らしをしたい」という希望には合致しない。「家に住む=旅」と感じられない人であれば、やはり宿泊施設のほうがよい。

 現状、サラリーマン夫婦が旅をしながら暮らすのは難しいのかなと思っていたら、そーでもないことが分かってきた。期間限定ではあるが、全国のホテルを転々としながら生活することができるサービスが登場したのだ。東急が提供する、定額制回遊型住み替えサービス「TsugiTsugi(ツギツギ)」である。

宿泊施設を転々として暮らすことができるサービスが登場した

 ツギツギの最大の特徴は、全国にある宿泊施設39拠点を利用期間内(4〜7月)であれば、自由に移り住むことができること。新型コロナの感染が広がって、高級ホテルなどがサブスク型の長期滞在プランを提供しているが、ツギツギは北は北海道、南は沖縄まで、指定されているところであれば、渡り歩きながら生活を送ることができるのだ。

利用期間内であれば、宿泊施設39拠点を転々とできる(画像は大阪エクセルホテル東急のラウンジ)

 プランは2つあって、30泊コースの価格は18万円、60泊コースが36万円。決して安くはないが、サラリーマンの手が届かない金額でもない。しかも同伴者1人まで無料としているので、冒頭で紹介したような夫婦で30泊を利用すれば、1人9万円の計算になる。東京の家賃を考えればトントン、いや……ちょい安いくらいの価格である。

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