しかし、現実問題として商品生産に掛かるあらゆる調達コストは上昇している。工場や商社、輸入業者、小売企業といった調達企業でコスト吸収させるのは、もはや限界が近づいてきている。どこが真っ先に値上げ宣言をするのか。チキンレースのような状態といっても過言ではない。
さらに米国の消費回復基調より、長期金利の利上げによる円売りドル買いによる円安基調は、輸入比率が97%のアパレルにとって完全な逆風になる。通常価格で仕入れられていても為替レートで減損してしまう。そこに原料高が加われば、まさにダブルパンチで、泣きっ面に蜂といった状態だ。
米国が経済活動を復活させたことによって、中国をはじめとした東アジア工場のキャパシティーも埋まっていると聞く。日本の発注オーダー数は欧米に比べて少なく、品質、工場管理に対する要望は中国国内向けの製品と比べると厳しい。工場側のメリットは少ない。
そこに燃料高による輸送コストの上昇と、マイナス要因がこれだけそろうと、ついにアパレルも値上げに踏み切りたいところだ。しかし、そう簡単に踏み切れない業態がある。その代表格は、生活に必要不可欠な日用品を取りそろえ、買い求めやすさを「お値打ち感」としてアピールしてきたチェーンストア業態店だ。
ここでは、アパレルチェーンストア業態店を代表する「ユニクロ」を例として取り上げてみたい。
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