日産自動車は2月8日、22年3月期通期の連結業績予想を上方修正し、純利益が従来予想から250億円増の2050億円(前期は4486億9700万円の赤字)になる見通しだと発表した。売上高は従来予想から900億円減の8兆7100億円(対前期比10.8%増)に下方修正するが、営業利益は300億円増の2100億円(前期は1506億5100万円)を見込む。
年間の販売目標は380万台のまま据え置いているが、オミクロン株の感染拡大や世界的な半導体不足などが売上高の下方修正の遠因になった。同社のアシュワニ・グプタCOO(最高執行責任者)はこの状況について「新型コロナウイルスの感染拡大と重点市場における供給不足の影響を物語っている」としている。ただ、円安が追い風となり、営業利益・純利益は上方修正している。
第3四半期単体(21年10月〜12月)では、世界全体の販売台数は90万4000台(前年同期比16%減)だったものの、各市場で重要セグメントと位置付ける車種の売り上げは好調のようだ。特に日本向けの「ノート・オーラ」はセグメントシェアを13.9%(前年同期比6.6ポイント増)、米国向けの「フロンティア」は同シェアを13.1%(同7.2ポイント増)とそれぞれシェアを拡大した。
同日発表した22年3月期第3四半期(2021年4月〜12月)の業績は、売上高が6兆1540億3100万円(対前年同期比15.7%増)、営業利益は1912億8700万円(前年同期は1316億3100万円の赤字)、純利益は2013億3500万円(前年同期は3677億2100万円の赤字)だった。
会見では報道各社から、昨今の原材料価格の高騰に対する今後の対応を尋ねる質問が相次いだ。
グプタCOOは「この問題は業界全体が影響を受けている」と前置きした上で「日産は、ルノー・三菱自動車の3社でのアライアンスによる共同購買組織でハンドリングしている。つまり『規模の経済』がある」と説明。原材料価格の高騰に対応するため、最新技術を使ってロジウムやプラチナなど貴金属の消費量削減に取り組んでいることを明らかにした。
グプタCOOは「単に原材料価格の高騰を吸収させるために値上げはしたくない。まずはわれわれが価値を創造し、お客様がそれに対して対価を支払う用意があって、原材料価格の高騰を相殺できる。原材料価格の高騰を価格に転嫁するのは最後の手段だ」と強調し、今後も自助努力によって原材料価格の高騰に対応する考えを強調した。
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