――今後の展開についてはどう考えていますか。
小野: 現在は木の酒を造るウッド・スピリッツといった新規のプロジェクトに注力しつつ(関連記事)、海外展開も視野に入れています。クラフトジンの需要が伸びており、海外からの引き合いも増えています。現状だと、英国で店舗販売や卸を行っています。
――海外展開する際に戦略面で注意している点などはありますか。
小野: 香りや味が大事なことはもちろん、ストーリーの構築にも注力しています。やはり、ヨーロッパは再生可能エネルギーの普及など、日本よりも環境問題に対して危機感が強くあります。そのため、“酒粕から造られている”というサステナブルな部分を全面的に押し出すことは重要になってくると思います。
サステナブルな観点を維持しつつ、クオリティーも高めています。英国で行われている「IWSC(インターナショナル ワイン&スピリッツ コンペティション)2021」で、LASTが最高金賞を受賞しました。クオリティーは担保できていると自負しています。
――酒類業界以外の食品残渣(ざんさ)を使う予定はありますか。
小野: エスプレッソコーヒーの出し殻を香りづけで使用したクラフトジン「COFFEE ETHIQUE(コーヒー・エシーク)」や、チョコレート製造で廃棄される殻の部分であるカカオハスクを再利用したエシカル・ジン「CACAO ETHIQUE(カカオ・エシーク)」など、さまざまな新製品も発表しています。
酒粕と同様に、生産する過程で廃棄される原料はまだまだ多くあります。ただ、ジン以外の商品を作ることよりも、ジンでできることがまだたくさんあると思っています。ジンの生産工程でさまざまな廃棄素材を取り込み、環境問題に貢献できればと考えています。
「捨てられている」ということは、今まで口にされていないということです。それを活用し、商品化することで、消費者に“体験したことのない価値”を届けられると思います。そう考えると、廃棄物の可能性は無限大で、さまざまな新しい付加価値の提案ができるのではと考えています。
(終わり)
太田祐一(おおた ゆういち/ライター、記者)
1988年生まれ。日本大学芸術学部放送学科で脚本を学んだ後、住宅業界の新聞社に入社。全国の工務店や木材・林業分野を担当し取材・記事執筆を行った。
その後、金属業界の新聞社に転職し、銅スクラップや廃プラリサイクルなどを担当。
2020年5月にフリーランスのライター・記者として独立。現在は、さまざまな媒体で取材・記事執筆を行っている。Twitter:@oota0329
ポートフォリオはこちら
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング