会見情報の事前ツイートはOK? NTTデータ株、一時450円上昇で議論に

» 2022年05月09日 17時43分 公開
[ITmedia]

 NTTデータの5月9日付けの株価が一時急伸し、年初来高値となる1株当たり2885円を記録した。同日午後1時からのNTTとの共同会見の報道を受け、市場関係者からTOB(株式公開買い付け)への期待が高まったためとみられる。結果的に、会見内容はTOBではなかったため、午後以降は株価が急落し、終値は同2440円(前日比20円安)となった。

photo NTTデータ

 同社の株価が急伸したのは同日午前10時41分ごろ。始値は同2431円(前日比29円安)だったため、454円上昇したことになる。同社は同日午前9時12分ごろ、報道関係者向けにNTTとの共同会見開催に関するメールを送付しており、これを受け、米ブルームバーグや英ロイター通信など海外メディアが一斉に報道。株式市場ではTOBへの期待が高まったものの、結果的に会見の内容は2社の海外事業を統合するという内容だった。

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photo NTTデータ株の推移(出典:ヤフーファイナンス

日経クロステック編集委員の投稿に批判も、NTTデータ「問題ない」

 ただ、株価推移を巡っては、日経クロステックの木村岳史編集委員のツイートに対し、一部で批判が出ている。木村編集委員は同日午前9時23分、自身の公式Twitterアカウントで「先ほどNTTデータから記者会見の案内が来た。『本日、記者会見を実施予定です。直前のご案内となり、恐れ入りますが、オンラインでご参加賜りますよう、お願い申し上げます。なお、本日の取締役会の状況により、会見が中止となる可能性があります』。出席者はNTTとNTTデータの両社長。こりゃでかいな」(原文ママ)と投稿した。

 この投稿以降、同社の株価が上昇傾向になったことから、一部から「NTTデータの株価がなんか不自然な動きしているが、当該ツイートは関係ないのか。発信していい情報だったのか」などの批判が出た。その後、木村編集委員は「先ほどのツイートが一人歩きを始めた」として、投稿を削除した。

 木村編集委員の投稿に批判が挙がっていることに関して、NTTデータ広報に見解を聞くと「会見の開催情報を投稿しているだけで問題ない。開催情報だけで記事化しているメディアもある」との見解を示した。

 マスコミ業界では、情報の外部への事前漏えいを防ぐため、案件によっては「情報解禁日」などを設けているケースもある。NTTデータからのメールを確認したところ、情報解禁に関する記載はなかったため、同社の見解通り、木村編集委員の投稿は問題ないように思える。

photo NTTデータからの会見案内

 午後1時という会見の開催時間に関しても「株式市場が閉まる午後3時以降に発表するべきだったのではないか」などと疑問の声が出ている。この指摘に同社広報は「TOB案件ではないため、あの時間での情報発信と記者会見の開催は問題ないと考えている」とコメントした。

 会見でも記者から同様の質問が出たが、NTTの澤田純社長は「期待感としてTOBがあるのではないかと思われたということだが、それ(TOB)を場中に発表することはあり得ない。時間については意識していない」と回答した。

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