ソニーG、営業利益が初の1兆円超え 映画・音楽が好調売上高10兆円が目前

» 2022年05月10日 21時10分 公開
[ITmedia]

 ソニーグループは5月10日、2022年3月期通期の連結決算(国際会計基準)を発表。売上高は9兆9215億円(前期比10%増)、本業のもうけを示す営業利益は1兆2023億円(26%増)となり、いずれも過去最高を更新した。映画や音楽などのエンターテインメント事業が大きく伸びた。23年3月期の連結売上高の予想は11兆4000億円(15%増)としており、日本の電機業界で「壁」と言われてきた10兆円を突破する見通しだ。

2022年3月期連結決算について説明する十時裕樹副社長兼CFO(オンライン記者会見より)

 国内の製造業で営業利益が1兆円を超えたのは、トヨタ自動車に次ぎ2社目となる。主力事業のゲームや、映画・音楽が好調に推移した。

 セグメント別に、ゲーム分野(事業区分は「ゲーム&ネットワークサービス」)から見ると、売上高は2兆7398億円(3%増)、営業利益は前期比ほぼ横ばいの3461億円だった。20年に発売した家庭用ゲーム機「プレイステーション5」(PS5)の販売台数が1150万台を記録。半導体不足などの影響で、当初の販売目標(1480万台)には届かなかった。

ゲーム&ネットワークサービス分野(会見資料より、以下同)

 22年度は1800万台を販売目標に掲げ、コンテンツ開発力強化に向けた投資も進めていく方針。6月には定額制ゲームサービス「PS Plus」のリニューアルも控えており、十時裕樹副社長兼CFOは「こうご期待と申し上げたい」と自信を見せる。22年度売上高は3兆6600億円(34%増)と大幅増収を見込んでいる。

 音楽分野では、売上高は1兆1169億円(19%増)、営業利益も前期比261億円増の2109億円となった。アーティストの発掘・育成の強化やレパートリーの拡充、レーベル買収などを進めており、「ヒットを継続して創出する力が着実に向上している」(十時氏)。22年度は売上高1兆2400億円(11%増)を見込む。

音楽分野

 映画分野では、売上高は1億2389万円(65%増)、営業利益も前期比1375億円増の2174億円を記録。去年公開した映画「スパイダーマン」の最新作がヒットするなど、興行収入の増加が増収につながった。22年度は売上高911億円(7%増)を見込んでいる。

映画分野

 半導体分野(事業区分は「イメージング&センシング・ソリューション」)では、売上高は1兆764億円(6%増)、営業利益は前期比97億円増の1556億円となった。デジタルカメラや産業機器向けイメージセンサーの販売数量の増加による増収、為替の好影響などが増収につながった。22年度の売上高は1兆4700億円(37%増)の大幅増収を見込む。

イメージング&センシング・ソリューション分野

 またウクライナ情勢をめぐり、十時氏は「一刻も早く紛争が解決し平和が取り戻されることを願っている」とした上で、ウクライナとロシアにおける同社の事業規模は21年度連結売上高の0.7%にとどまると説明。「これらの地域に限れば業績への影響は限定的だが、今後の世界経済への影響を注視している」とコメントした。

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