高級ブランド店が建ち並ぶ東京・銀座に4月15日、100円ショップ最大手、大創産業の旗艦店がオープンした。利便性が向上したと歓迎の声が上がる一方、「銀座らしくない」「“安いニッポン”の象徴」などと手厳しい意見も聞かれる。銀座を「グローバル展開の拠点」と位置付けるダイソーは今回、“銀座らしさ”に配慮した、ある特別な対応を取るなど、街への溶け込みを図る。果たして、ダイソーは銀座に根を張ることができるのか。長年、銀座の街づくりに携わってきた専門家に話を聞いた。
「本当のことを言うと、私たちも最初はえっ、と驚きました。街中からも多少の驚きの声があったのは事実です」
こう話すのは「銀座街づくり会議」事務局長の竹沢えり子さんだ。
街づくり会議は、銀座の景観に関する問題や、新規開発計画の窓口となる団体。銀座に住む人や経営者、専門家らで構成し、2004年の設立以来、東京都中央区と連携して建築物のデザインや違法駐車の問題など、年間200〜300件に及ぶ課題に対応してきた。
長年、銀座に携わってきた人々にとっても、今回のダイソー進出は驚きをもって受け止められたようだ。
街づくり会議では、銀座らしい街並みを保つために、新規に出店する企業と、新たに建てる建築物や街中に出す広告デザインについて、事前に協議する仕組みを設けている。
今回、街づくり会議はダイソーともデザイン協議を行った。竹沢さんが協議でダイソーに要望したのは2つ。1つは「ロゴ看板の配色の見直し」だった。
ダイソーのロゴマークといえば、彩度の強いピンク地が特徴だ。しかし、街づくり会議が作った、建築や広告デザインに関する指針「銀座デザインルール」は、「目立つことばかりではなく、銀座の通りの価値を高める街並みにふさわしい表現が求められる」などと定めている。
「ロゴの色そのものを変えてもらうのは中々お願いしにくいので、例えばピンク地に白の文字ではなく、白地にピンクの文字へと色を反転してもらう、あるいは、同じピンクでも少し抑え目にしてもらうといったお願いをしました」と竹沢さんは話す。
実際に、ダイソーが入店した商業施設「マロニエゲート銀座2」の外壁に掲げられたロゴ看板を見ると、白地にピンクの文字で「DAISO ダイソー」と記されている。
大創産業広報課の岩橋理恵さんは「おっしゃる通り、デザイン協議会で看板のデザインについて話し合っています。銀座の景観を損なわないよう、街に溶け込んだ色合いにしました」と話す。
竹沢さんがダイソーに要望したもう1つは「銀座ならではの出店」だ。
「銀座店でしか手に入らない品ぞろえや、インテリアにしてほしいとお願いしています。『さすが銀座のダイソーね』『やっぱり違うわねと』と言われる出店をお願いしました」(竹沢さん)
ダイソーは今回、おなじみの100円ショップ「ダイソー」に加え、300円の商品が中心の「THREEPPY」と「Standard Products」も合わせた3ブランドを初めて同時開店した。今治産タオルを新たに銀座店から取り扱うなど、ダイソーとしても「グローバル展開の拠点」として、強い思いを銀座旗艦店に注いでいる。
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