森永康平に聞く「賃金が上がらない国・日本」の深層スタグフレーションの時代【前編】(1/2 ページ)

» 2022年07月06日 09時00分 公開
[星裕方ITmedia]
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 値上げラッシュが止まらない。

 38年間値上げをしなかったスシローも、一皿100円を終了すると発表した。コロナやロシア・ウクライナ問題によって高騰する原材料費を価格転嫁した形だ。日用品から、外食産業まで、平均10%程度の値上げを各社が発表し、家計に大きな打撃を与えている。

 安倍政権時にアベノミクスの目玉だった「黒田バズーカ」と呼ばれる大規模な金融緩和を実行しても、なかなか達成できなかった2%のインフレターゲットだが、4月の物価上昇率は約7年ぶりに2%台に乗り、5月も前年同月比2.5%と、2カ月連続で2%を超えた。

 2%のインフレターゲットとは、安定的に物価が上昇していくなかで、企業の収益拡大や賃金上昇といった好循環を促進するという考え方だ。

 しかし、4月に『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)を上梓した経済アナリストで金融教育ベンチャーのマネネCEOを務める森永康平氏は、物価だけが上昇して賃金は増えていないことに強く警戒感を示している。

 このまま購買力が上がらないまま、物価だけが上昇していくとどうなるのか――。森永氏に「賃金が上がらない国・日本」の深層を聞いた。

森永 康平(もりなが・こうへい) マネネCEO、経済アナリスト。証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。その後2018年6月に金融教育ベンチャーの株式会社マネネを設立。現在は経済アナリストとして執筆や講演をしながら、AIベンチャーのCFOも兼任するなど、国内外複数のベンチャー企業の経営にも参画。著書は『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)や父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など多数

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