ツイッターとマスク氏の法廷闘争へ 買収関連費用3300万ドルも業績の重し

» 2022年07月25日 12時22分 公開
[金子正道ITmedia]

 ツイッター(TWTR)は7月22日(米国現地)に第2四半期となる2022年4−6月決算を発表した。売上高が11億7600万ドル(前年同期比1%減)、最終損益が2億7000万ドルの赤字(前年同期は6600万ドルの黒字)だった。

【訂正:7/30 初出で前年同期の最終損益記述が誤っておりました。お詫びし訂正いたします。】

 マクロ環境に起因する広告業界の逆風に加えて、イーロン・マスク氏の買収保留という不確実性が重なったことが減収要因と報告された。費用が前年同期比31%増となり、マスク氏による懸案のツイッター買収に関連する費用は約3300万ドル発生した。

 また、収益対象になる1日当たりアクティブユーザー数(mDAU)は2億3780万人(前年同期比16.6%増)であり、マスク氏と見解が異なる偽アカウントやスパムの比率は、mDAUの5%未満とも発表した。

(出所:筆者撮影)
(出所:筆者作成)

 07年に創業したツイッターは、世界中でツイート投稿サービスを提供している。売り上げの約90%が広告サービス、約10%がデータライセンスである(21年)。

 4月4日にマスク氏がツイッター株の9.1%を取得したことを発表した。同25日に、ツイッターはマスク氏と総額440億ドルの買収合意に至る。マスク氏からは、ツイッターの買収価格は1株54.20ドルと提示されたが、合意後の株価は1度も54.20ドルを上回ることなく、足元では40ドルを下回っている日々が続く。

 100%の株式取得と非公開化を明言したマスク氏はその後、偽アカウントやスパムの比率に疑念を抱き再調査を主張してきた。7月8日にはマスク氏から買収取引の打ち切りを一方的に通知され、12日にはマスク氏の買収撤回は無効だとして提訴することとなった。

 マスク氏にとって、ツイッター買収がプランAだとすれば、ツイッター買収という世界への情報発信と大義名分で、自らの保有するテスラ・モーターズ株式を一定量売却してできた手元資金で何かを始めることが、プランBとも考えられる。仮に、マスク氏がプランAを見切り、プランBを進めていくためには、ツイッターとの法廷闘争を終わらせねばならない。ツイッターとしては株主のためにも、1株54.20ドルという株価で全株をマスク氏に取得してもらうことが必達だ。

(出所:ツイッターEarnings Press Release)

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