「ハゲはセクシー」な国もあるのに、なぜ日本人は恥ずかしがるのか 背景に「加藤茶」と「アデランス」スピン経済の歩き方(1/6 ページ)

» 2022年08月02日 10時46分 公開
[窪田順生ITmedia]

 “ツルツル肌”を提供するビジネスが大盛況だ。

 40年以上もムダ毛ケア製品を世に送り出してきた美容専門メーカー「ヤーマン」の2022年4月期の売上高は409億円、営業利益68億円などいずれも過去最高の業績となっている。決算補足説明資料によれば、これはムダ毛ケアと美肌ケアができる光美容器レイボーテシリーズの防水VIO対応機種などのヒットが貢献したという。

 また、プロ仕様マシンを自分で使って脱毛をする「セルフ脱毛サロン ハイジ」も好調で、昨年末は全国28店舗だったところが、現在は44店舗まで成長している。

 さらに、子どもが脱毛エステに通ったり、家庭用脱毛器でムダ毛のケアをするという、いわゆる「キッズ脱毛」も人気だ。医療脱毛を提供するリゼクリニックが高校生に「関心の高い美容」を尋ねたところ、男女とも「脱毛」が1位。女子生徒の74.0%、男子生徒の43.0%が「脱毛」に関心示している。

高校生に「関心の高い美容」を聞いた(出典:リゼクリニック)

 そんな空前の「ツルツルブーム」の勢いがうかがえるのが、消費者トラブルだ。国民生活センターによれば、脱毛エステに関する消費者からの4〜6月の相談件数は、昨年同時期と比べ、なんと約3倍に増加している。同センターによれば、男性の場合は全身脱毛が多く、10〜20代男性の平均契約購入金額は、同世代の女性より約18万円高い約52万円となったという。

脱毛エステに関する相談件数が増えている(出典:国民生活センター)

 今の日本人はジェンダー問わず、そして子どもまで「毛」を毛嫌いして、ツルツル肌に強く憧れている、と言っても過言ではないのだ。

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