吉田カバンが「1+1=3」の発想 リュックが2つに分かれる新作にびっくり週末に「へえ」な話(2/3 ページ)

» 2022年08月14日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

ターゲットを絞って開発

 ふむふむ。確かに、新型コロナの感染が広がって、ノートパソコンが入るカバンを持つ人が増えたような気がする。とある調査(※)でも、ビジネスバッグを選ぶ際に重視しているポイントとして、「パソコンが入る」が3位に入っていて、コロナ前と比べてぐーんと伸びていた。

(※)イデアインターナショナル社が20〜40代のビジネスパーソン500人を調査。期間は21年6月7〜9日。

ビジネスバッグを選ぶ際に重視しているポイント
メインで利用しているビジネスバッグの種類

 また、会社で働くか家で働くかによって、使っているバッグに違いも。会社で働く人は「トートバッグ」(32.4%)が最も多いのに対して、家で働く人は「リュック」(32.6%)がトップ。テレワーカーの3人に1人は、メインのビジネスバッグとして「リュック」を使っていることがうかがえたのだ。

 こうした環境の変化を受けて、「ツインパック」を市場に投入したわけだが、「であれば、フツーのリュックでよいのでは?」と思われたかもしれない。先ほど紹介したように、同社でフツーのリュックはたくさん扱っている。今回のリュックは、ターゲットをさらに絞り込んでいるのだ。

 「仕事の前後にランニングやジムに通う人が増えてきました。仕事で使う書類やパソコンなどは後層部に(体に近いほう)、プライベートで使う着替えやシューズなどは前層部に。『使い分けて持ちたいなあ』というときには“分離”させて、『一緒に持ちたいなあ』というときには“くっつけて”使えるように設計しました」(岡田さん)

2つをくっつけたとき

 カバンという商品の特性上、発売後いきなり大ヒットするケースは少ない。例えば、吉田カバンに「TANKER(タンカー)」というブランドがある。PORTERの代名詞ともいえるシリーズで、特徴は米軍のフライトジャケット「MA-1」をモチーフにしていて、オリジナルの3層構造生地を採用していること。ロングセラー商品として、多くの人に愛されているわけだが、発売当時は様子がちょっと違っていた。

 1983年に発売したものの、売れ行きは「まずまず」といった感じ。その後、少しずつファンが増えていって、10年ほどたってから“定番”の仲間入りに。「ツインパック」もいまのところスタートダッシュは切れていないようだが、タンカーのようにじわじわ広がっていって、数年後に大きく成長しているかもしれない。

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