移転に向けて取り組んだのが、先述した「行きたくなるオフィス」のアイデア募集だ。社内SNSを通して従業員に呼び掛けたところ、216件のアイデアが集まった。
その中には、「オンライン商談に適した会議室を」といった意見の他、「お菓子が食べたい」「料理がしたい」といった声もあったという。
「え、会議室で料理? 業務に関係あるの?」と思われたかもしれないが、同社はそれを造ってしまったのである。「キッチン付き会議室」だけではない。「駄菓子屋をイメージした会議室」や「DJブースやビリヤード台がある会議室」「DIYができる会議室」などさまざま。会議室としての機能もしっかり備え、ホワイトボードやオンライン会議用のモニターも設置している。
「従業員の声を基に再構築しました」といったオフィスはこれまでも当連載でも紹介してきたが、ここまで反映しているのは聞いたことがない。しかも全てが“中途半端”な設備ではないのが驚きだ。
キッチンには本格的なオーブンや業務用冷蔵庫を完備。新卒社員が発案したという「駄菓子屋をイメージした会議室」では、駄菓子・アイスクリームを無料で食べられるほか、看板やアイス用冷蔵庫にエイジング加工を施し、少し古びた昭和の雰囲気を演出している。あらためていうが、これはテーマパークや商業施設の話ではなく、いち企業のオフィスの設備だ。
取材時、キッチンのある会議室では、発案者とその同僚が料理を作りながらコミュニケーションを取っていた。広報担当者によると、業務時間内でもコミュニケーションを図ることが目的であれば、料理をしたりビリヤードやダーツをしたりしても問題ないという。
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