本記事は、ニッセイ基礎研究所「さらに進行するアルコール離れ−若者で増える、あえて飲まない「ソバーキュリアス」」(2022年11月24日掲載、生活研究部 上席研究員 久我 尚子)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。
コロナ禍3年目の忘年会シーズンがやってきた。今年は久しぶりに、という話も増えているのではないだろうか。
ところで、「ソバーキュリアス」という言葉をご存じだろうか。自分の身体や心の健康を考えて、あえてアルコールを飲まない、飲むとしても少しだけ楽しむライフスタイルのことで、数年前から欧米の若者を中心に広がっている。
日本でも「若者のアルコール離れ」が言われて久しい。日本人の飲酒習慣率を20年ほど前と比べると、確かに20・30代の男女で低下しているが、男性では全ての年代で低下している(図1)。
中高年男性でもアルコール離れが進んだ背景には、健康志向の高まりや景気低迷による会合の減少などがあるのだろう。
一方で興味深いのは、40・50代の女性の飲酒習慣率が20代の男性を、やや上回っていることだ。今の40・50代は働く女性が増えてきた世代だ。男性と同じように会食の機会を持ち、アルコールを楽しむ女性が増えているのだろう。
とはいえ、女性の飲酒習慣率は、最も高い50歳代でも2割に満たない。また、若い世代では女性でも男性と同様に低下傾向を示しており、あえて飲まないソバ―キュリアスの存在感は増している。
飲酒の頻度のデータを見ると、アルコールを飲めないわけではないが「ほとんど飲まない」・「やめた」との回答は若いほど多く、20代では男女とも約27%を占める(図2)。さらに、これに「飲まない(飲めない)」との回答をあわせると、20代の男性の約半数、女性の約6割は日ごろ、アルコールから離れた生活を送っていることになる。
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