新時代セールスの教科書

データ活用の難易度は、ビジネスモデルによって違う「データドリブンセールス」を考える(2/3 ページ)

» 2023年02月02日 08時00分 公開

B2C

 B2C(Business-to-Consumer)は、小売店や飲食店、サービス業など、直接顧客に製品やサービスを販売するビジネスモデルの略です。

 多くのB2Cは多店舗展開し、ECサイトも用意しています。オフラインとオンラインの両方の販売チャネルを持っており、店舗での購入、ECサイトでの購入、両方で購入する顧客が存在します。店舗で現物確認をした後にECサイトで購入するなど、購入経路も多様になってきています。

 顧客がECサイトで商品を検索し、翌日に実店舗で同じ商品を購入した場合は、顧客はECサイトを買い物の下調べのために利用していると予想でき、顧客がオンラインとオフラインを組み合わせて買い物を楽しんでいるというように顧客の行動を分析することができます。

 また、ほとんどの企業において、POSシステムが導入されており、販売実績をリアルタイムで取得することができます。カード会員などで顧客情報を取得している場合は、顧客のデモグラフィ情報(性別、年齢、住所など)と組み合わせたより詳細な分析も可能になります。

 しかし、非会員の顧客の属性はレジで性別や年齢を手入力しないと把握できません。D2Cと異なり、来店情報は自動的に蓄積されないため、店舗にAIカメラを導入するなどして来店状況を把握し、購買情報を紐付ける工夫が進んでいます。

B2B2C

 B2B2C(Business-to-Business-to-Consumer)は、消費者向けの製品を製造しているメーカーのビジネスモデルの略です。流通や卸などの中間業者を介して、顧客が製品を購入します。

 このビジネスモデルでは、直接の顧客である2Bにおいては取引実績が細かくデータとして蓄積されています。しかし、流通や卸を経由するため、2Cである消費者との接点が間接的になり、消費者を理解するデータが不足しがちです。

 例えば、出版社は小売店である各書店への出荷数や返品数は把握していますが、各書店での実際の販売数や在庫数、購入した顧客の属性は、書店のシステムなどを利用しなければ把握することはできません。

 顧客の理解を促進するために、オウンドメディアでの情報発信を始め、会員システムを構築し、顧客とのダイレクトで継続的なコミュニケーションを育む動きがあります。会員アンケートを行い、ニーズや購入理由、知った経路などのデータを収集します。また、購入した商品に貼られたQRコードからキャンペーンやイベントへの応募を通じて会員登録を促し、データを蓄積します。

 外部の調査会社から調査購買データ、顧客属性データを購入し、自社のデータと組み合わせることで顧客の解像度を上げ、理解の向上を図るケースもあります。会員基盤を通じて、顧客のセグメントごとに適したコミュニケーションやプロモーションを行います。

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