2021年11月、イギリスのグラスゴーで開催された「国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)」において、「森林・土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言(グラスゴー宣言)」が採択されました。これは、2030年までに世界の森林減少を食い止めるため、各国が協力することを約束したもので、署名した国は日本を含む140カ国以上に上りました。
この宣言は、パリ協定のような法的な拘束力を持つものではないですが、ビジネスの分野でも、その重要性が注目されています。背景には、今も各地で続いている深刻な森林破壊があります。
南米最大のサバンナ地帯であるセラード。オオアリクイなど約2400種もの野生の脊椎動物が確認されています。2001年から2020年までのわずか20年間に、その総面積の15%(2900万ヘクタール)が放牧地や大豆農場に転換されました(画像:WWF-Brazil)04年から17年までの14年間に世界24カ所で失われた森林の総面積は4,300万ヘクタールに上ります。その最大の原因は、農地や放牧地、植林地などへの転換です。また、これまで森林ほど保全対象として注目されてこなかった、草原やサバンナといった森林以外の陸上生態系でも、土地転換が驚異的な速さで進んでいます。
20世紀以降、世界的な規模で続けられてきた自然環境の破壊が、なぜ今ビジネスにおいて、注目されているのでしょうか? その理由は自然や生態系、そこに生息する野生生物といった「生物多様性」の消失が、さまざまな産業と経済に深刻な脅威となり始めていることにあります。
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