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日本企業のサステナビリティ開示率9割超 なのに“場当たり的な”対応が目立つワケ明るいサステナビリティ変革(1/3 ページ)

» 2023年02月08日 08時30分 公開

連載:明るいサステナビリティ変革

 サステナビリティを巡る世界の動きは非常に速く、企業は日々新たな対応が求められています。気候変動から自然資本、人的資本、サステナビリティ全般へと、情報開示の対象は拡大し、開示義務化の流れも世界的に加速しています。今後情報開示を充実させていくためには、組織変革も不可欠です。開示先行で変革を強いられている中、企業がサステナビリティ変革を受動的でなく能動的に変革を推進するにはどうすればいいのか。EYストラテジー・アンド・コンサルティングが7回に分けて解説していきます。

 SDGsやESGといった用語の認知度は徐々に高まってきたように感じるものの、「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)」「ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)」などを知っている人はそれほど多くはないかもしれません。

 上記で挙げた用語は、いずれもサステナビリティに関する情報開示の世界的な取り決めを指します。世界中の多くの企業がこうした要請への対応に現在進行形で追われており、日本企業も例外ではありません。基準に沿った情報開示だけでなく、サステナビリティ経営に積極的に取り組み、既存の仕組みや戦略を変えていくことが求められているのです。

サステナビリティ経営に積極的に取り組み、既存の仕組みや戦略を変えていくことが求められている(画像はイメージ)

 ただ実際のところ、現在の情報開示に関する世界的な要請はあくまでレコメンデーションであり、強制ではありません。しかし、情報開示の枠組みの一つであるTCFDについて言えば、すでに東証プライム企業を対象に実質的に義務化されています。

 世界的に見ても、TCFDのみならず、米国ではSEC(連邦政府機関)、欧州ではCSRD(企業サステナビリティ報告指令)の指導のもと、全ての上場企業(CSRDは一定の条件を満たした非上場企業も含む)に気候変動、サステナビリティ全般の情報開示を義務付ける方向で検討が進んでいます。

 環境領域一つをとっても、CO2の排出量だけでなく、脱炭素化に向けた移行計画、生物多様性の保全、水・海洋資源の管理など新たな開示項目が追加されています。従来に比べ、企業がやらなければならないことが各段に増えているのです。

とりあえず開示の「場当たり対応」 日本企業はどう変わるべき?

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