リスキリング「よく知らない」中小経営者の6割 ネット社会のリスク対応も急務経営者1619人に聞いた

» 2023年03月20日 15時58分 公開
[ITmedia]

 中小企業経営者の約6割が「リスキリング」についてよく知らない――そんな結果が、経営コンサルティングなどを行うフォーバル(東京都渋谷区)の調査によって分かった。

 岸田首相は2022年10月、今後5年間で1兆円をリスキリングに投じると発表するなど、リスキリングに関する注目度は高まっている。これを受け、同社は中小企業の経営者1619人に「中小企業のDXに関する実態調査」を実施した。

中小企業のDXに関する実態調査(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

中小企業経営者の約6割が、「リスキリング」を「よく知らない」

 リスキリングについて「聞いたことはあるが、よく知らない」「知らない」が合わせて60.7%と、約6割の中小企業経営者がリスキリングが何かよく知らないという結果となった。「知っており、他の人に説明できる」人は12.4%と約1割にとどまった。

あなたは「リスキリング」とは何かご存じですか?(出所:プレスリリース、以下同)

 「リスキリングへの取り組みや支援を行っているか」という質問には、「行っていないが行う予定がある」「行っておらず、行う予定もない」合わせて92.4%と9割以上が現状できていないという結果に。

 73.4%は「行っておらず、行う予定もない」と回答しており、調査元のフォーバルは「DX人材育成に対する関心の薄さがうかがえ、自分ごと化できていない、あるいは資金的、人材的余裕がなく、行えない状況と推察される」とコメントしている。

あなたの企業では、リスキリングへの取り組みや支援を行っていますか。

リスキリングの内容1位は「eラーニング、オンライン学習サービスの活用」

 「リスキリングを行っている」と回答した中小企業経営者に取り組み内容を聞いたところ、どの役職・部署においても、半数前後の企業が「eラーニング、オンライン学習サービスの活用」に取り組んでいた。そのほかは、どの施策、どの対象も3割を切るという結果だった。

リスキリングを行っていると回答した方に伺います。対象者ごとにその取り組み内容として当てはまるものをお選びください。(複数選択)

 調査の実施主体であるフォーバルGDXリサーチ研究所の平良(たいら)所長は、リスキリングが注目される背景に、「目まぐるしく変化する社会の中で、次々に発展していくデジタルツールを使いこなせる人が全く足りていない」現状があることを指摘する。

 一方でデジタル化が進んだ社会だからこそ起きている不祥事のリスクにも触れ、「企業経営者はコンプライアンス上からも、社員にデジタル社会でのデータや情報を適切に取り扱う正しい知識を身に着けさせる必要がある」とし、教育への継続的な投資の重要性を訴えた。

 本調査は全国の中小企業経営者に対してインターネットで実施した。調査期間は1月10日〜2月10日、有効回答数は1619人。

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