GW旅行需要で「スーツケース」販売好調 売り上げは前年比2倍強 取材で分かった売れ筋とはメーカーに取材(2/3 ページ)

» 2023年04月26日 06時30分 公開
[樋口隆充ITmedia]

売れ筋は「機内持ち込み」 大型サイズに意外な需要

 直近の売れ筋商品の傾向を聞いた。同社は「『機内持ち込みサイズ』の需要が非常に高まっている」と回答。国内旅行や出張によく利用される35リットル前後のサイズが好調で「全国旅行支援の延長などが追い風となった」とみている。サイズ別の売上比率を見ても「直近1〜3月の売上本数構成比は半数以上が機内持ち込みサイズだった」という。

photo 機内持ち込みサイズの解説(出典:同社公式Webサイト)
photo 機内持ち込みサイズのスーツケース(出典:エース公式ECサイト)

 コロナ禍で売れ行きが鈍化していた「大型サイズ」も22年末から売り上げを伸ばしている。要因の1つとして、入国制限緩和によるインバウンドの急速な回復が大きく関係している。訪日外国人客がお土産を詰め、日本国内で大型のスーツケースを買い足す需要が多いためだ。

photo お土産購入などにより、スーツケースを日本で新たに購入するケースが増えている(提供:ゲッティイメージズ)

 大型のスーツケースを購入するのは外国人ばかりではない。同社は「海外旅行や留学、家族の荷物を1つのスーツケースにまとめたいという国内客の需要も見られる」と指摘する。同社は羽田空港や新千歳空港などの空港、「ららぽーと」などの商業施設などを中心に全国23店舗の直営店を展開している。

photo エースの直営店(出典:同社公式Webサイト)

 22年末にセールを実施したところ「旅行予定はまだ立てていないが、来年こそ海外旅行に行きたい」と将来的な需要を見越して大型を購入するケースや「コロナ禍でスーツケースを断捨離したため」「しばらくスーツケースを使っておらず、久しぶりに使おうとしたら壊れていたので買い替えたい」といったコロナ禍ならではの特需がみられた。

 同社は夏に向けて、コロナ禍で制限されていた旅行需要が戻る「リベンジトラベル需要」が、さらに増加すると予想している。GW期間中の海外旅行需要はコロナ禍前の2割程度だった一方、JTBは1月に発表した23年全体の旅行動向予測で、海外旅行者数が840万人と予想。対前年比289.7%、19年比40.4%との見通しを示した。このため、同社も「海外旅行需要は特に夏以降回復してくるのではないか」と見ている。

photo JTBの旅行動向予測

 同社は「秋冬にかけてスーツケースの大幅な拡充を計画している。今後もさまざまな旅のスタイルを想定し企画した、多彩なスーツケースを続々と提供する」とし、新商品の展開を強化する方針を示した。

 現在の販売状況が続けば、ピークだった19年を上回る可能性がある。これについては「中国からの団体旅行解禁や、国内客で夏以降の海外旅行のさらなる回復があった場合は、これまで以上に伸びる可能性がある」と述べるにとどめた。

photo 老舗メーカーのエース(出典:同社公式Webサイト)

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