早ければ4月29日から大型連休、いわゆる「ゴールデンウイーク」(GW)が始まる。訪日外国人客(インバウンド)に対する水際対策の緩和に続き、3月からは屋外でのマスク着用の自由化、サッカーなどスポーツ観戦での「声出し応援」解禁などコロナ禍前の生活に戻りつつある。そうした中で迎えるGWは旅行需要の増加でスーツケースの販売が好調だという。老舗メーカーのエース(東京都渋谷区)と、新興メーカーで「レジェンドウォーカー」ブランドを手掛けるティーアンドエス(埼玉県越谷市)に直近の売り上げ状況や今後の見通しなどを聞いた。
職人による手作りの日本製ブランド「プロテカ」などを手掛ける業界大手エースの直近3カ月(1〜3月)のスーツケース売り上げは、前年同月比で264%増。21年同月比では442%増にもなる。同社広報によると、同条件で売上高を比較できる16年以降、年々売り上げは増加。19年がピークだったものの、新型コロナの影響で約3割程度まで落ち込んだという。
2022年は徐々に回復傾向に。転機となったのは、22年10月の入国制限の緩和だ。そこに政府の後押しで始まった観光業支援策「全国旅行支援」(旅行割)の再開が加わり「10月以降スーツケース売上高はコロナ禍前の水準まで急回復した。その後も順調に推移している」。同社広報はこう話す。
年明け以降もスーツケースの販売は好調だ。背景には増加傾向にある旅行需要の高さがある。JTBが4月6日に発表したGWの動向調査(4月29日〜5月5日)によると、国内旅行者数は対前年153.1%の2450万人、コロナ禍前の19年比で102%。3年ぶりに算出した海外旅行者数は同400%の20万人、19年比で21.5%。国内旅行者数に関してはコロナ禍前の水準に戻りつつある。回答者2万2000人のうち、26.5%が「旅行に行く」と回答しており、この数値も19年同様の水準だという。
エースも「新型コロナウイルスの5類移行に伴う制限緩和やマスク着用の自由化など、withコロナ時代の空気感が広がる中、旅行への心理的な抵抗感が薄れ、多くの方が旅行に行きやすくなってきたのではないか」とし、好影響を実感しているようだ。「全国旅行支援が6月いっぱいまで延長されたこともあり、『お得なうちに旅行に行こう』という人が増えているのではないか」とも話した。
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