電気代が大幅増も約6割が「価格転嫁できていない」ワケ 背景に深刻な事情：帝国データバンクが1097社に調査

[ほしのあずさ，ITmedia]

　帝国データバンク（東京都港区）は4月10〜13日、1097社を対象に「電気料金の値上げの影響」に関する調査を実施した。その結果、電気料金の増加分の価格転嫁を「全くできていない」企業は約6割に上った。

「電気料金の値上げの影響」などに関する調査を実施した（出所：プレスリリース）

　1年前と比較した「電気料金の総額の変化」について、最も多かったのは「20〜40％未満の増加」（33.1％）だった。次いで「40〜60％未満の増加」（21.1％）、「20％未満の増加」（20.0％）と続き、合わせて9割超の企業で電気料金が増加していた。

電気料金の変化率（帝国データバンク調べ　以下同）

　電気料金の増加分を、販売価格やサービス料金に転嫁できているか尋ねたところ、6割近くの企業が「全く価格転嫁できていない」（57.2％）と分かった。

　多少なりとも価格転嫁できている企業は合わせて42.8％で、内訳を見ると電気料金の増加分に対し「2割未満」（20.7％）が最も多かった。

電気料金の価格転嫁状況

　回答者からは「部品や原材料の値上げ分の転嫁が目先の課題で、電力代まで手が回らない」（電気機械器具卸売）、「原材料の転嫁が精一杯。それ以上の価格改定は客足が遠のきそうで転嫁できない」（美容）など、原材料価格の上昇分を価格転嫁することに取り組む中で、電気料金の価格転嫁までは難しいというコメントが多く寄せられた。