21年限りでF1の舞台から撤退していたホンダ。このタイミングでの復帰を発表したのはなぜか。理由をひも解くキーワードが「カーボンニュートラル」(CN)だ。
同社は20年10月に、翌シーズン末でのF1撤退を表明した際、「最重要課題である環境への取り組みとして、持続可能な社会を実現するために『2050年CNの実現』を目指す」とした上で「そのために、カーボンフリー技術の中心となる燃料電池車(FCV)、バッテリーEV(BEV)など、将来のパワーユニットやエネルギー領域での研究開発に経営資源を重点的に投入していく必要がある」としていた。世界的に進む電動化の流れの中で、事業の選択と集中でF1撤退を決めていたというわけだ。
だが、その後、F1にもCNと電動化の流れが波及。F1では30年のCN実現を目標として掲げており、その一環として26年シーズンからレギュレーションが変更となる。具体的には「100%CN燃料」の使用を義務付けるとともに、最高出力の50%をエンジン、50%を電動モーターで賄い、現行よりも電気エネルギーの比率を大幅に高めるというものだ。
このレギュレーション変更は、ホンダが進めるCNの方向性に合致すると判断。本業の一般車両のBEV開発などにF1での技術を転用できる可能性があることから、参戦を決めた。
F1復帰で注目が集まるのが、チーム名だ。F1では、歴代王者の名前とともにチーム名が認知されるケースが多い。21年にフェルスタッペンが年間王者となった際もチーム名は「レッドブル・ホンダ」となっており、社名が入っていた。
参戦後のチーム名についてホンダ広報は「チーム名はケースバイケース。追って発表することになるため、現時点では回答できない」とした。
創業者の本田宗一郎氏主導で、ホンダは1964年にF1に参戦。その間、撤退と復帰を繰り返してきたものの、24年で参戦60周年を迎える。かつて同社は3度の年間王者に輝いた伝説的ドライバーであるアイルトン・セナ氏(ブラジル、マクラーレン・ホンダ)の活躍で、日本に空前のF1ブームを巻き起こすとともに、「F1のホンダ」として世界での認知度も高めた。
21年シーズンの最終戦で劇的な勝利を収め、ホンダとしてのF1参戦最終年で30年ぶりの年間王者が決まった際は、競合のトヨタも公式Twitterアカウントで「ありがとうホンダ」と投稿し、話題となった。5季ぶりのF1復帰で世界を再び席巻できるか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング