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「営業はしない」 「さらば青春の光」をヒットさせた敏腕マネジャーの仕事術異才を見いだす「育てるマネジメント」(1/4 ページ)

» 2023年05月31日 07時00分 公開
[仲奈々ITmedia]

連載:異才を見いだす「育てるマネジメント」

働かないおじさん、管理職にならない若者……現代は、責任を負い、才能を育てるマネジャーへのイメージが著しく下落している。そんな中、不確実性が高い芸能界やアスリートの世界でも結果を残す名物マネジャーはどのようなことを意識してマネジメントを行っているのか――。多くのエンターテインメントビジネスのプロデュースを手掛けるFIREBUGの佐藤詳悟CEOが、今気になるマネジャーを訪ね、才能を発掘する方法、育てる方法、軌道にのった後のマネジメントの在り方を議論する。

FIREBUG公式Webサイト

 吉本興業でナインティナイン、ロンドンブーツ1号2号、ロバートのマネジャーを務めた後、FIREBUGを立ち上げた佐藤詳悟氏。FIREBUGでは、才能を拡張させる“タレントエンパワーメントパートナー”として、多くのタレントのプロデュース戦略を手掛け、企業向けにはタレントを軸としたコンテンツを中心にマーケティングソリューションを提供している。

 本連載では、マネジメントのプロである佐藤氏が、今会いたい“敏腕マネジャー”と対談し、メンバーのモチベーションを上げたり、才能を開花させたりするヒントを探っていく。

 第3回目となる今回の対談相手は、お笑いコンビ「さらば青春の光」のマネジャーを務めるヤマネヒロマサ氏。「さらば青春の光」はもともと大手芸能事務所に所属していたが、2013年に株式会社ザ・森東を立ち上げ独立。そこに以前から「さらば」の運営を手伝っていたヤマネ氏がマネジャーとして参画し、現在は3人で会社運営をしている。

 「さらば」に関わるまで、マネジメントや経営に携わったことはなかったというヤマネ氏。そんな彼がどのようにして2人を、そして会社を成長させてきたのか。お話を伺った。

左からザ・森東のヤマネヒロマサ氏、FIREBUGの佐藤詳悟氏

芸人、バンドマンを経て、まだ売れてない「さらば」のマネジャーに

佐藤詳悟氏(以下、佐藤氏): ヤマネさんは現在は「さらば」のマネジャーとして活躍されていますが、それまではどんな経歴を歩んできたんですか?

ヤマネヒロマサ氏(以下、ヤマネ氏): 実は、キャリアのスタートは芸人からなんですよ。4年くらい芸人をやって、その後はバンドをやってましたね。自分たちでインディーレーベルをやりながら。それが今までで一番長く続いて、15年くらいはやっていたかな。

 バンドを辞めたあとは音楽関係の裏方の仕事をしていました。そのときに並行して「さらば」の手伝いもしていたんです。正式にマネジャーのオファーを受けて、本格的に関わり始めたのは2016年からですね。

ザ・森東のヤマネヒロマサ氏

佐藤氏: その頃の「さらば」はすでに売れていましたか?

ヤマネ氏: いや、全然(笑)。「さらば」はもともと松竹芸能に所属していたのですが、2013年に独立。独立してすぐに始まった『さらば青春の光ふぁいなる』という番組内の企画で立ち上げたザ・森東という会社を、その番組が終わるタイミングで番組から譲り受けて自分たちで管理・運営をしていました。その会社に僕もマネジャーとして参加した形なのですが、奥さんにはすごく心配されましたね。

 長年芸人、バンドマンとふらふらしてきて、やっと腰を据えて働こうと思った先が仕事のない個人の芸能事務所ですから。傍から見ると、ギャンブルのようなもんですよね。

佐藤氏: それでもマネジャーに転身することを決めた理由はなんですか?

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