有価証券報告書での開示義務化に伴い、注目度が高まる人的資本開示。多くの企業が「どうしたら、他社に見劣りしない開示ができるのか」と悩み、試行錯誤しているようだ。
しかし、アステラス製薬 専務担当役員人事・コンプライアンス担当の杉田勝好氏は、他社との比較を「意味がない」と断じる。杉田氏は国内外の製薬およびIT企業で人事部門のシニアリーダーポジションを務めた経歴を持ち、経産省主導の「人材版伊藤レポート」の検討委員にも名を連ねる。
他社と比べても意味がないのならば、どう取り組むべきなのか? 杉田氏に聞いた。
──人的資本開示をめぐっては、自社と競合他社、海外企業と国内企業などで比較可能な数値を比べて気にする担当者も少なくないようです。
例えばエンゲージメントサーベイ(ES)の数値を各社の横並びで比較しても、それぞれ状況は異なるので意味はありません。それよりも……
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