7年前に大ブレイクした「水平開きノート」、その後どうなったの?あの話題は今(3/4 ページ)

» 2023年07月31日 07時00分 公開
[小林香織ITmedia]

個性的なコンセプトのノートも話題に

 これだけ話題になれば、周囲も放っておかない。続々とコラボの話が舞い込み、この7年で有名企業との共同製作や個性的なコンセプトの製品が多数生まれている。

 17年には「ジャポニカ学習帳」でおなじみのショウワノートとコラボした水平開きノートを発売。19年には、視覚過敏を持つ人の声を反映してつくられた「目に優しいノート」を発売した。光の反射を和らげる目に負担をかけないグリーンとイエローの用紙を使用しており、長時間使っても疲れにくいそうだ。

視覚過敏の人でも目に使いやすい「目に優しいノート」(筆者撮影)
真っ白よりは目がチカチカしない感じがあった(筆者撮影)

 さらに20年には、脳を活性化させ集中力を高める効果を持つ「特殊紙OKシナプス」を使った「脳スッキリノート」を発売した。

「よく売れてます」と中村氏が紹介した「脳スッキリノート」(筆者撮影)
写真では分かりづらいが表面がザラザラしており、書くことに意識が向きやすい気がした(筆者撮影)

 人の心や感性を可視化する技術などを研究するTOFFEE社(トフィー、新潟県長岡市)、長岡技術大学、王子ホールディングス(東京都中央区)が開発した「特殊紙OKシナプス」は、青い色や表面の凹凸が脳刺激を高めるという。通常の白い紙と比較すると「集中力が158%アップ」という結果が出ている。

 いずれも一定の反響があり、水平開きノートの支持の高さがうかがえる。クラウドファンディングサイトとして知られるMakuake(マクアケ)でも、8つのプロジェクトを実施し、すべて成功させている。

 16年以降しばらくは手づくりで製本していたが、それでは1日300冊ほどしかつくれない。約3年前に4000万円ほどかけてオリジナルの製本機械を製造し、10倍の3000冊までキャパを増やした。しかし、それでも物足りず、1日1万〜2万冊まで増やしたいと中村氏は考えている。

部屋のキャパを占める特注の機械。数名で1日3000冊を製造する(筆者撮影)

 水平開きノートの主な購入者層は明確には分からないが、40代以降の女性が多いのではないかとのこと。ブレイクした当初は学生を中心に人気を集めていたが、年月を経て利用者層が変化したのだろうか。

 「40代以降の女性の場合、お子さんやお孫さんに渡す方も多いようです。自身が使う場合は料理のレシピをまとめたり、趣味で絵を描いたりするのかな。自身が使っていたものを学生の子どもが気に入り、子どものためにオリジナルの水平開きノートを注文された方もいました」

 認知が広がり、利用者層が広がったのかもしれない。今では手帳、スケッチブック、原稿用紙、音楽用など、さまざまな水平開きノートが発売されている。

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