しかし、褒めてもドーパミンが分泌されない人たちがいます。褒められることに慣れているタイプや、過去の失敗の記憶が強すぎて、少しぐらい褒めても反応しないタイプです。
彼らの脳は褒められても快感を覚えないので、褒め上手の上司は苦労するでしょう。
そんなときは、反対に叱ってみるのも手です。
叱るといっても、ただ感情に任せて叱るのではなく、改善点を明らかにした上で、具体的にアドバイスすることが必要です。
アドバイスを受けた部下が、「次はうまくいく」と思えれば、前ページ「3つの条件」の(1)と(3)に当てはまるため、部下の気持ちも前向きになるはずです。
とはいえ、こんな時代に人を叱るなんて、リスクしかないようにも思えます。「パワハラ」とか「モラハラ」と非難されるのがオチだからです。
しかし中には、「リスクを承知で耳の痛い話をしてくれるなんてありがたい」と受け取ってくれる部下もいるはずです。適当なことを言って、お茶を濁していたほうがラクなわけですからね。
あなたが上司なら、褒めても反応しない部下は叱って伸ばそう!
あなたが部下なら、叱ってくれる上司のアドバイスに耳を傾けよう!
脳の仕組みから言えば、「褒めて伸ばす」のが基本ですが、基本に当てはまらないケースも少なくないので困ったときは実践してみてください。
【まとめ】
褒めて伸ばす部下と叱って伸ばす部下の違いを見極めよう!
この記事は、『自分のやる気が上がるのは、どっち?』(田中伸明/クロスメディア・パブリッシング)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。
ベスリ会総院長、日本神経学会認定医、医師会認定産業医、東洋医学会専門医。鹿児島大学医学部卒業後、諏訪中央病院で地域医療に従事。その後、厚生労働省でマネジメントを、マッキンゼー・アンド・カンパニージャパンで経営を学ぶ。その経験を生かして会津大学理工学部、日本大学工学部、京都産業大学経営学部の教授として大学教育に従事。ビジネス領域で活動した医師免許所有者の社会的責務として、日本を支えるビジネスパーソンのメンタル障害を解決することが重要と考え、ベスリクリニックを開設。医学だけでは解決できない問題に対して独自の社会的アプローチを開発するとともに、ビジネスを含め、広くサービスを探査、提供している。著書に『マッキンゼー×最新脳科学 究極の集中術』など。
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