IT機器を「廃棄」から「リユース」へ NTTドコモの事例に見る、日本企業がITADに取り組むべき理由

» 2023年08月28日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
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 「SDGs(持続可能な開発目標)」の重要性がますます高まる中、企業活動においても環境への配慮が求められるようになっている。その中で徐々に注目を集めているのが、IT資産の適正処分(ITAD)だ。社内で不要になったサーバやPCを適切に処理した上で、これまでのように廃棄するのではなく、リユース・リサイクルし、循環型経済を実現しようとする一連の取り組みである。

 ITADは比較的新しい概念であり、国内では多くの企業が手探り状態にあるが、先んじて取り組みを進めているのがNTTドコモ(以下、ドコモ)だ。同社ではどのようにITADを推進しているのか、同社 サービスデザイン部 クラウドデザイン室の檜森吾朗氏に話を聞いた。

NTTドコモ サービスデザイン部 クラウドデザイン室の檜森吾朗氏

サステナビリティを推進するドコモグループ

 ドコモは2022年7月、ドコモグループサステナビリティ方針を制定し、「環境」「社会」「人材」「公正」の4つのテーマを柱に、事業運営とESGの一体的な推進をグループ全体で打ち出している。特に環境分野においては、事業活動による環境負荷を低減し、脱炭素、資源循環型社会の実現、生物多様性/生態系保全を目指している。

 22年度には、5G回線の契約比率24%に対して、ドコモで消費する総電力量に占める再生可能エネルギーの比率が27%と上回り、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「グリーン5G」を実現。30年度にはドコモグループでの総電力を再生可能エネルギー比率100%にし、温室効果ガス排出量をゼロに抑えるよう取り組みを強化している。

 このようにサステナビリティ推進に積極的なドコモは、ITADへの注目も早く、10年以上前からITADの取り組みを開始。不要なサーバやネットワーク機器の売却を実施している。しかし、サービスデザイン部としては17年度に一度この取り組みをやめてしまったという。その背景には「費用対効果の低さがあった」と檜森氏は振り返る。

「期待していたほどの売却益が出なかった」ことからITADの取り組みは一度頓挫していたと話す檜森氏

 「売却費用よりも、売却に伴う機器の運搬費やデータ消去費などのコストが上回り、売却益が出るどころか、廃棄処分する方が安価になってしまっていました。私たちもリユースのスキームに慣れておらず、現場の稼働も多くかなり負担となっていました。かかる人的・金銭的コストに対してリターンが見合わず、少しでも機器の撤去費用を減らしたいと思い、サービスデザイン部として一度ITADは頓挫してしまった経緯があります」(檜森氏)

 その結果、一時は廃棄処分方式に戻っていたが、21年度にITADを再開することとなる。その際、他部門から紹介されたのが、IT機器の買取り・販売事業者のゲットイットだった。

 「いくつかの業者を検討していた際にゲットイットを知り、見積もりを出していただきました。都度見積もり合わせを行い、買取り価格の高さや他部門での取引実績など総合的に判断し、21年度からはゲットイットにITADを依頼しています。IT機器の売却についてはやはり法務上の手続きやセキュリティの懸念などがハードルになりがちですが、すでに他部門での実績があったためスムーズに確認などが進められました」(檜森氏)

5台売れば5台分のCO2を削減できる

 ゲットイットにIT機器を売却し始めてからは、ITADの実績が堅調に推移している。21年度にはサーバ153台、22年度にはサーバ90台およびネットワーク機器80台を売却し、リユースやリサイクルにつなげた。毎年度計画的に撤去工事を実施しているため、都度売却を進めている。

 「サーバの撤去工事はこれまでにも年数回のペースで実施していました。そのタイミングでIT機器を産廃業者に渡すか、ゲットイットに渡すかの違いだけなので、引き渡しの負担感は変わりません。売却後にはゲットイットからデータの消去証明書をいただけるので、安心してお任せしています」(檜森氏)

サステナビリティの視点でも学ぶものがあったと振り返る檜森氏

 ドコモほどの規模となるとサーバの増設はハイペースだ。新サービスや需要増により、サービスデザイン部では年間200件以上の増設工事が必要となる。EOLなどで不要な機器も出てくるため、撤去可能機器を常に確認し撤去工事計画を立て、計画的に処分しているという。「2カ月に1回程度、撤去工事計画を行うなど大変な面もあるが、ITADはサステナビリティへの取り組みに直結する重要な施策」と檜森氏は語る。

 「例えば、不要になったサーバ5台をゲットイットに売却すれば、5台分の電子廃棄物(E-waste)を減らすことができ、それらがリユースされることで新たに5台製造する必要がなくなります。つまり、サーバ5台の売却によって、製造時に発生するCO2やごみを削減し、5台分の環境配慮ができるのです。この考え方はゲットイットから教わりましたが、ITADを推進する上でとても重要な視点ではないでしょうか」(檜森氏)

 ゲットイットは今後、ITADによってどれだけCO2やE-wasteを削減できたかの環境レポートを提供する計画だ。この環境レポートには、買い取ったIT機器の状態によって直接再販ができない場合においても、細かい部品から鉱物資源に至るまでどのようにリサイクルされているかを追跡した詳細な情報を含むようになるという。いずれ売却による報告でこれらの情報を活用できるようになれば、企業のESG経営やサステナビリティ活動の説得力も増すようになるだろう。「SDGsを推進する全社的な取り組みの1つとしてITADを考えたとき、こうした環境レポートは非常に有用だと思います」(檜森氏)

これからの時代は「経済コスト」と「環境コスト」の両軸で考えることが重要

 檜森氏が所属するサービスデザイン部は、今後もITADを継続する方針だという。しかし、現状は売却の費用対効果は大きいものではなく、時には数千円の売却益になってしまうこともある。「費用やコストだけを見ていれば継続は難しくなってしまう」と檜森氏は明かす。それでもITADを続ける理由は、やはり環境面への効果だ。

 「当初は『撤去費用をできるだけ抑えたい』というコスト面への期待が大きかったのですが、現在はサステナビリティの観点がより重要になっています。ここ数年は特に社内でもそのような風向きとなり、現在は少しのマイナス査定であれば、環境に配慮して売却する方が良いのではないかという声が強くなりました。当然そこには、SDGsを推進するグループ全体の影響もあります」(檜森氏)

 こうした風潮は近年ますます強くなっている。事業活動における環境負荷を“外部化したコスト”と捉え、それらのコストを社会に押し付けるのではなく、企業が果たすべき社会的責任として負うということだ。とはいえ、ITADを未導入の企業にとっては、環境面だけを理由にすれば優先順位は下がり、いつまでたっても始められないという状況に陥る可能性は高い。檜森氏は「まず費用や売却益を理由に始めてもいいのでは」と提案する。

 「私たちも最初は同じような理由で始めました。そしてITADを続けることで、環境面への効果を詳しく知ることができ、徐々に続ける理由がサステナビリティ視点へと変化していきました。今後もITADを推進していきたいと考えています」(檜森氏)

「コスト」と「環境」の2つの視点でITADを推進していくと力強く語る檜森氏

 ドコモグループは、SDGsにおける環境への負荷低減に向けた施策の1つとして「資源循環型社会の実現」を掲げており、リユース・リサイクルを軸にIT機器の処分を考えるITADは、まさにこれに合致した取り組みといえる。

 なお、売却益を上げるコツとして、不要となった時点ですぐに売却すれば、査定額が上がるケースも多い。すでに廃棄予定のIT機器があるなら、早めの売却が買取り額アップに効果的となる。もしITADに詳しい人材やリソースがない場合は、ゲットイットと相談しながら売却計画を立てるのも有効だ。実績豊富なゲットイットは、ITADの最初の一歩を踏み出すための力強いパートナーになってくれるはずだ。

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提供:株式会社ゲットイット
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2023年9月20日