2024年以降も安定的な輸送能力を確保するために、欠かせないのが「荷姿改善」だ。より少ないトラックで輸送するためには、荷台にロスを発生させない工夫が必要。そこで、今後以下の取り組みを実行していこう。
調達荷姿でも出荷荷姿でもよいので、受入場や出荷場でその荷姿を観察してみよう(図表1)。手順はというと、最初にその荷姿を真横から見る。パレットの上に箱がきちんと積まれているだろうか。箱が1つや2つ歯抜け状態になっていないだろうか。このような観点でロスを見つけてみよう。
次に真上から見てみよう。そうするといろいろなロスが見えてくる。目立つのは積まれた箱の真ん中に「穴」が開いているケースだ。これを通称ピンホールと呼ぶが、これがあるだけで約14%程度の積載率低下につながる。
パレットは必要悪といえる。手積み手降ろしを避けるために必要だが、パレットの分だけ製品を積載できないのだから、荷台の上ではロスだ。箱の中の充填(じゅうてん)率も重要だ。
以上のようにまず、荷姿にどのようなロスが発生しているか認識しよう。
次に「トラックの荷台にマッチした容器モジュール」を設計しよう。海外では日本と比べものにならないほどの長距離を輸送しているため、この考え方は一般的だ。一方で日本ではほとんど考えられていない。
だからこそここで認識していただき、今後の会社の物流改善活動の一つとして取り組んでいただきたい。では具体的にどうするのか。それは、最もよく使うトラックの荷台を「輪切り」にしていき、その結果できた縦横高さの箱を「輸送用荷姿のための容器」とすることだ。図表2に例を載せておくのでご覧いただきたい。
最後に「多角的輸送モード」の採用について触れておく。輸送モードとは輸送手段のことを指す。主な輸送モードにはトラック、船舶、鉄道、航空機がある。この内トラックはとにかく便利だ。狭い国内であれば離島以外であればどこへでもドア・ツー・ドアで荷物を運べる。物流に詳しくなければ大抵、輸送をトラックに頼る。だから今のような問題が生まれたともいえるだろう。
一方で日本は島国のため、海運が発達している。鉄道も不自由を感じることも少ない。そこで、トラック以外の輸送モードを使う手があるのだ。将来的な輸送能力不足対策と同時に、主に利用している輸送モードが使えなかった場合のバックアップ、つまり物流のリスクマネジメントとしても活用できる。
航空機はリードタイム的に最高ではあるが高額なため、よほどコスト負担力がなければ使い勝手はよくないかもしれない。500キロメートル超となる長距離輸送がある場合は、すぐに船舶と鉄道の活用を検討しよう。
24年4月まであと7カ月程度となった。今、世の中で言われている輸送能力不足問題が起きる可能性は高い。さらに、24年以降も問題が拡大していくことが考えられる。
この状況下で、大半の方が何をしたらよいのか分からないでいる。しかしこれまでの3回の記事を読まれた皆さまは、やるべきことを認識されたものと思う。あとはそれを「やるか、やらないか」だけ。ぜひ、実行することで将来的な危機を回避していただきたい。
【開催期間】2023年8月22日(火)〜9月10日(日)
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