【開催期間】2023年8月22日(火)〜9月10日(日)
【視聴】無料
【視聴方法】こちらより事前登録
【本記事読者へのおすすめ講演】
物流業界における「2024年問題」はすぐそこまで迫っている。この問題を克服するためには物流業の生産性向上以外の道はない。ロジスティクス・コンサルタントの仙石惠一が、運送業はもちろん、間接的に物流に携わる読者に向けて基本からノウハウを解説する
トラック運転手の働き方改革に伴い、輸送能力が不足することで起こる「2024年問題」。法改正まで7カ月とタイムリミットは刻一刻と迫っている。
前回の記事で、永続的にサプライチェーンを維持していくために「顧客との取引内容の改善」と「輸送の見える化の実行」について紹介した。これを実行するだけでも効果は期待できるが、特に後者については見えてきた課題に対する技術的な対策があるとより効果的だ。そこで今回は技術面に焦点を当てて解説したい。
前回、トラック積載率を見える化する取り組みについて解説した。このデータは必ず計算で求めることが重要だ。見た目で判断しても意味がない。なぜなら見た目の積載率は「大甘」になる傾向があるからだ。
さて、ここで見えた積載率について、まずは重量的にも容積的にも「60%」を超える水準を目指そう。もちろんそれ以上を目標としても構わないが、かなりハードなものとなる。積載率の上げ方は以下の4つだ。
社内で複数の部署がそれぞれ別々に配車していることがよくある。しかも「同じ日に同じ方面向けで」だ。結果的に、低積載トラックを複数走らせてしまっている。このような現象を防ぐために、配車部署(配車担当者でもよい)を一元化し、そこに会社全体の出荷情報を集約する。配車担当者は部署間混載を前提に、積載率を計算の上、配車を実行する。
近隣の他社と物流情報を交換し、お互い協力し合えるアイデアを探すことは非常に効果的だ。情報交換していくうちにトラックの共同利用(混載)のチャンスが見つかることも十分に考えられる。自社だけでトラックが満載にならなくても、他社と混載を行えば、輸送能力対策になるだけでなく、輸送コスト削減にもつながる。
相性が良い荷とは何か。それは、嵩(かさ)が大きく重量が軽い荷(容積勝ち荷)だ。その逆(重量勝ち荷)もしかり。一般的に、会社はそのどちらかの荷が中心となっている。
鉄製品を扱う会社は重量勝ち荷中心で、菓子製品を扱う会社は容積勝ち荷中心。この重量勝ち荷と容積勝ち荷をうまく組み合わせることで、トラック保有能力を効果的に利用できる。混載時の製品品質を守ることを前提に、自社にとって相性のよい荷を持つ会社を探そう。
ラウンド輸送とは、運んで行った先で「帰り荷」を積んで帰ってくる輸送のことを指す。多くの場合帰り荷が見つからず、空車の場合もある。前回紹介した輸送マップから見えてきた課題をつぶすアイデアを考えよう。
例えば、調達物流のトラックに自社の製品を積んで販売先まで届けてもらうような取り組みだ。この逆もありだ。この延長線上には、調達物流も自社が行う、つまり「引き取り物流」を実行し、全ての荷のコントロールを自分たちでできることが理想だ。
筆者が思うにこの「引き取り物流」は輸送改善の最高アイテムだ。ただし紙面の都合上その本質を解説できないことをご了承いただきたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング