リテール大革命

「配送部門に無理を強いれば大丈夫」は通用しない――物流2024年問題、まずやるべきこと仙石惠一の物流改革論(1/2 ページ)

» 2023年08月25日 09時00分 公開
[仙石惠一ITmedia]

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連載:仙石惠一の物流改革論

物流業界における「2024年問題」はすぐそこまで迫っている。この問題を克服するためには物流業の生産性向上以外の道はない。ロジスティクス・コンサルタントの仙石惠一が、運送業はもちろん、間接的に物流に携わる読者に向けて基本からノウハウを解説する。

 前回、2024年問題への対策として、これからの半年で取り組める対策についてご紹介した。大きく分けて「物流における各工程の実態把握」と「荷降ろし場におけるムダの発見と解決」の2つだ。これさえ実行しておけば、当面は輸送能力不足には陥らないと思われる。

写真はイメージ(提供:ゲッティイメージズ)

 しかし、問題の本質は2024年以降、つまり将来に向かえば向かうほど厳しさが増してくるのだ。私たちは永続的にサプライチェーンを維持していく責務がある。そのために、継続的に実行すべき対策について解説する。

「無理強い」は通用しなくなる 取引内容の負荷を見抜け

 前回から続いて、3つ目に挙げるのが「顧客との取引内容の改善」だ。ここでいう顧客とは、皆さまの取引先である顧客のことだ。つまりお客様のこと。この取引内容について問題が無いかチェックしてみると良い。

 例えば納品リードタイムについて。リードタイムが短いサービスはサプライチェーン・マネジメントでは高品質だといえる。物流業界は、ここ20年の間でこぞってリードタイムを短縮し、競争力を高めてきた。一方で大きな負荷もかかっている。

 一例を挙げよう。当日の午前11時まで注文を受け付け、運送会社に配車依頼をかけ、午後4時に積み込み。午後5時にはトラックが出発し翌日納品というパターンだ。

 運送会社は物量に応じた配車を行うが、場合によっては他社に運送依頼をすることがある。配車リードタイムが短すぎると、なかなか引き受け手が見つからないことがある。そこで取引先と納品リードタイムを1日延ばすことについて協力を求めることがあってもよい。

 併せて、受注締め切り時刻を過ぎたオーダーは原則として受け付けないという毅然(きぜん)とした対応も必要である。顧客にいい顔をするのではなく、きちんとルールを順守して取引するのも営業担当の仕事だ。「物流部門に言えば何とかなる」という風潮は今後は通用しなくなる。

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