また、直近では、BE:FIRSTが公開したドキュメンタリー映画『BE:the ONE』が、上映館数が114館と、他の映画の3分の1程度にもかかわらず公開初週で興行収入ランキングの9位に入り、公開2週間で興行収入3億円を突破して大ヒット御礼イベントを開催していたのが印象的です。
(参考記事:ボーイズグループ「BE:FIRST」がドキュメンタリー映画大ヒットに感謝、SKY―HIは「しゃべっていて泣きそうです」)
BE:FIRSTのようなアーティストのライブチケットは、プラチナチケットと化して入手するのが困難になりがちですが、映画であればチケットが入手しやすい割に、実際のライブに近い大音量でライブを疑似体験することが可能です。
こうしたトレンドは日本だけのものではなく、テイラー・スウィフトが10月に公開予定のツアー映画は220億円以上の興行収入になる可能性が高いと期待されているそうです。
(参考記事:テイラー・スウィフトの「ツアー映画」が興収220億円突破予測)
アーティストからすれば、映画を通じて、ライブチケットを手に入れられなかったファンや、ライブ会場が遠いファンにもライブに近い体験を提供することができます。それをきっかけに本物のライブに来たくなるファンも増えるはずですし、大きなメリットがあるといえるでしょう。
そう考えると、映画『THE FIRST SLAM DUNK』も、実際のバスケの試合を観戦しているような「疑似体験」ができるスポーツ映画になっていましたし、映画『スーパーマリオ』も観客がゲームをプレイしたり、ゲーム実況を視聴したりしているような「疑似体験」ができる映画になっていました。
昨年興行収入137億円超えの大ヒットとなった『トップガン マーヴェリック』も、実際の戦闘機を使って撮影したリアルな映像になっており、パイロットの飛行体験を「疑似体験」できる映画だったと言えると思います。
(参考記事:「トップガン マーヴェリック」がトム様日本歴代興収1位に)
ある意味、映画館がテーマパークのアトラクションのような位置づけになってきていると言えるかもしれません。
こうした映画館でなければ「体験」できない視聴経験を提供できる映画には、何度も足を運ぶリピーターが生まれやすいわけです。
一方で、ストーリー重視の映画が苦戦するようになっているのは間違いありませんし、映画業界の関係者に話を聞くと、大ヒットの映画は大きく伸びるようになっている一方で、中堅の映画がなかなか多くの映画館で上映してもらえる機会が得られにくくなっているという問題もあるようです。
ただ、若い世代に話を聞いても、今でも映画は特別な体験として足を運ぶ人が多いようです。
コロナ禍においては「オワコン」と心配された映画館ビジネスですが、映画館ならではの「体験」を提供する場所として、これからも私たちを楽しませてくれそうです。
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