まずはメニューの違いを見ていこう。スシローの郊外店では、握りが税込120円・180円・360円と3段階に分かれている(都市型店舗などは価格が異なる)。まぐろ・サーモンなどの定番系は120円で、サイドメニューにはうどん類や茶わん蒸しといった和風の商品があり、デザート類もいくつかそろっている。
くら寿司は、定番系の握りが税込115円〜となっており、スシローより低価格だ(東日本エリア)。熟成漬けまぐろやサーモンは115円で、はまちは120円。真たこやあじも180円と、200円を切っている。
サイドメニューはスシローよりも多い。うどん・ラーメンなど麺類の他、フライドポテト(くらポテト)やフライドチキンなどジャンキーなものもそろえている。その上で、パフェやアイス、ケーキなどのデザート類もスシローより充実している印象だ。特に子どもが好きそうな商品が目立つ。
こうしたメニュー構成から「握り」を中心に据えた寿司店らしいスシローと、寿司も提供するファミレスのようなくら寿司、といった違いが浮かんでくる。ネットやSNSでの口コミでも「寿司ネタならスシロー」「子どもと一緒に行くならくら寿司が良い」といった意見が見られる。
メニュー以外の違いも見てみよう。スシローとくら寿司の主力は、いずれもロードサイドの大型店だ。テーブル席で構成される店内の構造も似ている。大きな違いは「遊び心」といえるだろう。
くら寿司は5皿ごとに1回、景品が当たるカプセル自動販売機のような「ビッくらポン!」を導入しており、子ども受けを狙っている。また、20年には『鬼滅の刃』とのコラボがヒットし、業績も伸びたようだ。浅草店・押上店といったインバウンドや観光客も訪問する店舗では、ゲームや凝った店舗デザインが目立つ。くら寿司は、こうした「遊び」の要素が見られる点が独自といえる。
ここまでをまとめると、スシローは純粋に寿司を食べたい客層をメインで狙っている一方、くら寿司はエンターテイメント性で集客を図っていることが分かる。くら寿司がレーンでの商品提供を継続するのも、エンターテイメント性を重視していることが背景にあるといえよう。特に子どもは、レーンを流れる寿司を見るだけでも楽しめるものだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング