トヨタが最高益! EVが遅れているのに、なぜ?(1/2 ページ)

» 2023年11月02日 05時00分 公開
[産経新聞]
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 トヨタ自動車が1日発表した令和5年9月中間連結決算の営業利益率は、前年同期の6.4%を大幅に上回る11.6%の高水準に達した。原動力は、得意とするハイブリッド車(HV)を中心とする電動車の好調な販売だ。半導体不足の緩和で供給力が高まり、中間期の世界販売台数(レクサス含む)に占める電動車比率は前年同期比7.5ポイント増の約35.3%と過去最高水準に拡大。電気自動車(EV)では米テスラや中国の比亜迪(BYD)の後塵を拝しているが、豊富な電動車のラインアップが市場の脱炭素・低燃費ニーズを着実に取り込んでいる。

 「CO2(二酸化炭素)削減と収益を両立したハイブリッドがあることだ」

 同日会見した宮崎洋一副社長は、トヨタの稼ぐ力の特徴をこう強調した。

 急速なEVシフトへの対応が遅れて苦戦している中国でも、「クラウン」やミニバンの「アルファード」「ヴェルファイア」のHVが健闘し、9月は前年同月比でプラスを確保。9月単月の電動車比率は約37.6%まで高まっている。

 中間期は、HVの販売が33.5%増の約169万5000台、充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)も61.7%増の約7万台と大幅に伸長。両電動車の収益性はガソリン車並みで、販売増や海外を中心とする価格引き上げなどの商品力・営業力は、営業利益ベースで1兆2900億円の増益効果を上げた。

 8月には海外で高い人気を誇る大型スポーツ多目的車(SUV)「ランドクルーザー」の新型モデルで初のHVを設定。最高級車「センチュリー」の新型やSUVの「クラウン スポーツ」にもPHVモデルを用意するなど、今年投入の新型車で電動車の商品群は一段と拡大する。

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