昭和を疾走した「小さな」名車 ダイハツが送り出したヒーローたち(3/3 ページ)

» 2023年11月14日 17時42分 公開
[産経新聞]
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匠の技光る趣味の逸品

 池田工場の「ミゼット工房」は終了したが、技術者の手作りの精神は「エキスパートセンター」として受け継がれた。そして平成14年に誕生したのが、軽自動車として初の本格的スポーツカー「コペン」である。

平成14年に発売された初代「コペン」。ふっくらと丸みのあるボディーが魅力だった (ダイハツ工業提供)

 ベルトコンベヤーが存在しないフレキシブルな生産現場。「社内技能認定制度」で2級以上を取得した精度の高いスキルを身につけた熟練技術者たちが「知識」「技術」「情熱」をかたむけて仕上げた、まさに“匠の逸品”だ。

 発売当時、46歳の筆者も「コペン」に一目ぼれ。価格は約150万円。サラリーマンの平均年収が約380万円の時代。ただ、5人家族で2人乗りのスポーツカーは…。指をくわえて眺めるしかなかった。

 26年にフルモデルチェンジし「ローブ」「エクスプレイ」「セロ」など洗練されたスタイルの“子どもたち”が生まれたが、筆者はふっくらと丸みをおびた「初代」が好きである。

 「コペン」は現在も受注生産で令和5年度上半期(4〜9月)の販売台数は2800台。

 「そんなに売れてるの!」と驚く筆者に丸山広報は「タントは7万台売れてます」。「コペン」は根強いファンに支えられた“趣味の車”なのだ。

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ちょっとええ話

 池田市では「ダイハツ」と協力し「子ども、子育て支援日本一のまち」をめざす取り組みの一環として平成29年から『エンゼル車提供制度』を実施している。

 池田市で第3子以上を出産し、一定の条件(出産時点で池田市に6カ月以上居住し、市税を完納)を満たしている人に、3年間無料でダイハツの新車「ブーン」または「トール」を提供する−というもの。3年後には安く買い取ることも可能だ。

 池田市名誉市民の桂文枝さんなら「新婚さん、池田にいら−っしゃい!」というかも。(田所龍一)

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