「9時〜17時勤務を嫌がる米国人女性」に喝! サラリーマンが患う“症候群”とはスピン経済の歩き方(4/5 ページ)

» 2023年11月21日 11時07分 公開
[窪田順生ITmedia]

他人の足を引っ張る気質

 そして、もうひとつ。日本に「自分が苦労していたんだから他人にも同じ苦労をさせたい症候群」が広まったのは、日本人の気質もある。日本人は伝統的に他人の足を引っ張る嫉妬深い人が多いのだ。

 「世界で最も民度が高い日本人を根拠なくおとしめるな!」と不快になる人も多いだろうが、それはなにも筆者が言っているわけでなく、お札にも描かれるほどの偉人が言っている。

 福沢諭吉だ。

 有名な『学問のすゝめ』の中で、福沢諭吉は人間が生きていくうえでもっとも害となるのは「怨望(えんぼう)」とした。これは、他人と比べて自分を不満に思い、自分を高めずに他人を引きずり下ろそうという陰湿な心で、ここから猜疑や恐怖、卑劣が生じるとした。要は、「嫉妬」である。

(出典:AC)

 そして、注目すべきは福沢諭吉がこの「怨望」が日本人はよその国の人と比べて顕著にあると指摘していることだ。

 『試みに英亜諸国の有様と我日本の有様とを比較して、その人間の交際において孰かよく彼の御殿の如きを脱したるやと問う者あらば、余輩は今の日本を目して全く御殿に異ならずというには非ざれども、その境界を去るの遠近を論ずれば、日本はなおこれに近く、英亜諸国はこれを去ること遠しと言わざるを得ず』(『学問のすゝめ』岩波書店 P120)

 ご存じのように、福沢諭吉は、圧倒的な国力の差がある欧米列強に対して、どうすれば日本が飲み込まれないかを必死になって思想をめぐらせた人だ。懸命に国際比較をしていた人物が、「日本人とは嫉妬深い民族」だと分析していた事実は重い。

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