ふるさと納税、7割の自治体が「制度改正の対策した」 6割以上が選んだ「対策」は?

» 2023年11月23日 11時00分 公開
[ほしのあずさITmedia]

 ふるさと納税における制度改正が2023年10月1日に施行された。(1)ポータルサイトの利用料や各種事務にかかる費用をはじめ、募集に関する費用を「寄付金受入額の5割以下」に収めること、(2)熟成肉と精米は同じ都道府県で生産されたもののみを返礼品とすることの2点だ。

 特に(1)5割ルールの厳格化による影響は大きく、これまでと同じ寄付金額で進める場合、募集費用を削減しなければならない。そのため、寄付金額の引き上げに踏み切る自治体の増加が見込まれていた。このような背景から、23年度の寄付動向は例年と比較するとどう変わったのか。

ふるさと納税 2023年のふるさと納税、どういう変化があった?(提供:写真AC)

 ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」を運営するさとふる(東京都中央区)が実施した調査によると、98.2%の自治体が「制度改正により寄付動向に変化があった」と回答した。事業者も76.7%が同様の回答をしている。

 具体的な変化として特に多かった意見が「例年よりも9月までの寄付が伸びた」(自治体:99.4%、事業者:94.4%)だった。

ふるさと納税 2023年10月の制度改正を受け、寄付動向に変化はあった?(さとふる調べ)

 22年の4〜9月と比較した際の寄付額の変化については、約8割の自治体で「昨年対比121%以上」の寄付額があった。事業者も約3割が「昨年対比121%以上」と回答した。

 今回の制度改正を受けて、自治体の72.9%、事業者の25.2%が対策をしたという。具体的にどのような手を打ったのか。

ふるさと納税 2023年10月の制度改正を受けて何か対応をとった?(さとふる調べ)

制度改正を踏まえて、どんな対策をした?

 自治体と事業者の対策として最も多かったのは「寄付金額の値上げ」(自治体:68.2%、事業者:60.8%)だった。

 「既存お礼品の取り扱い中止」(自治体:56.9%、事業者:21.3%)、「既存お礼品内容の変更」(自治体:21.8%、事業者:27.3%)という声も目立った。

 そのほか「広告費の削減(自治体)」「お礼品情報の追加、委託内容の見直し検討(自治体)」「できるだけ寄付金額の低いお礼品を作った(事業者)」などの回答も挙がった。

ふるさと納税 制度改正を受け行った対応は?(さとふる調べ)

 事業者に23年の気候変動や自然災害による事業全体への影響を尋ねたところ、約半数が「影響があった」(46.9%)と回答した。主な影響内容としては「収穫量・生産量の減少」(59.4%)が最多。以降「収穫・生産物の変化」(38.0%)、「収穫・生産時期の変化」(30.5%)と続いた。

 影響に伴い「農家が従来廃棄していた『規格外サイズ』を商品化」「ひょう被害にあった梨を利用してパイを製造する」など、工夫する声も挙がった。

ふるさと納税 気候変動や自然災害による事業全体への影響は?(さとふる調べ)

 調査は、お礼品を提供する全国の328自治体と1134事業者を対象にインターネットにて実施した。期間は10月4〜16日。

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